
7月31日、欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)は、企業サスティナビリティ報告指令(CSRD)に基づく欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)の改訂案を公表し、60日間のパブリックコンサルテーションを開始した。この大きな一歩は、欧州委員会が進める「オムニバス」イニシアティブと、それに基づき2025年3月にEFRAGへ行った正式な要請に続くものである。その要請とは、2023年に採択されたESRSを大幅に簡素化するという重要な取り組みを実行するよう求めるものであった。
EFRAGは、すでにCSRDに基づき報告を行っている企業や今後報告義務が生じる企業など、広範なステークホルダーから800件以上の意見を収集した。そのフィードバックに基づき、「複雑性の削減」「ダブルマテリアリティ評価の簡素化」「基準間の重複排除」「言語と構造の明確化」「任意開示の削除」などの抜本的な見直しを実施した。また、「過度なコストや労力を要する場合の免除条項」など、柔軟な対応も盛り込まれた。
これにより、マテリアリティがある場合に報告が求められる義務的データポイントは57%削減され、任意開示も含めた全体の開示項目は68%削減された。文書全体の分量も55%以上短縮され、2024年以降に報告を開始する中小企業などにとって、ESRSがより実行可能で現実的な制度に近づいた形だ。
今回のパブリックコンサルテーションは7月31日から9月29日まで実施され、EFRAGは9月〜10月にかけて欧州各地で対話イベントも開催予定である。最終的な技術的助言は11月30日までに欧州委員会に提出される見通しだ。今後の制度運用を左右する重要な節目となるだけに、幅広い関係者による意見提出が求められている。
(原文)EFRAG Shares Revised ESRS Exposure Drafts and Launches 60-Day Public Consultation
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