Morningstar、第4四半期サステナブル・ファンド市場の動向を報告

1月27日、Morningstar Sustainalyticsは新たにレポートを発表し、2024年第4四半期におけるサステナブル・ファンドの資金フローや市場動向に関する変化を指摘した。本レポートでは、特にESGリスク要因を考慮したオープンエンド型ファンドおよびETFの動向に焦点を当て、地域別の資金流入・流出、総資産の推移、新規ファンドのローンチおよび閉鎖の状況について詳細に分析している。

2024年の第4四半期、世界のサステナブルなオープンエンドおよび上場投資信託(ETF)は年間で最も高い四半期流入額を記録し、総額160億ドルの資金が流入した。これは、第3四半期の修正後の流入額92億ドルから大幅に増加したことを示している。しかし、年間を通じて見ると、サステナブルファンドへの流入額は半減し、一方で市場全体は成長を遂げた。

第4四半期の流入増加を主導したのはヨーロッパであり、185億ドルの資金を集め、前四半期の修正後流入額89億ドルの2倍以上となった。一方、米国では同期間の資金流出がさらに拡大し、第3四半期の流出額20億ドルから、第4四半期には43億ドルへと増加した。日本でもサステナブルファンドの資金流出が深刻化したが、その他のアジア地域では引き続き新たな資金を呼び込んだ。

世界全体のサステナブルファンドの総資産は、市場価格の下落の影響を受け、第4四半期に4%減少し、総額3.2兆ドルに達した。一方で、新たなサステナブルファンドの設立は活発化し、第4四半期には86の新規ファンドが誕生し、前四半期の60ファンドから増加した。

また、ファンドの閉鎖やリブランドの動きも加速した。Europeでは、第4四半期に94のサステナブルファンドが閉鎖され、年間では合計351に達した。さらに、2024年には213のファンドが名称を変更し、そのうち50のファンドがESGに関連する主要な用語を名称から削除した。米国では、第4四半期に19のサステナブルファンドが閉鎖され、新規設立数を6四半期連続で上回る結果となった。

イギリスでは、これまでに61のファンドがサステナビリティラベルを採用し、これらのファンドの総資産は350億ドルに達した。今後数か月の間に、サステナブルファンドの分類がさらに変化すると予測されており、特にEUのファンド名称に関するアンチグリーンウォッシング規制の適用期限である5月に向け、動きが加速すると見られる。

【参照ページ】
(原文)Global Sustainable Fund Flows: Q4 2024 in Review
(日本語参考訳)世界の持続可能な資金フロー: 2024年第4四半期のレビュー

関連記事

おすすめ記事

  1. 【最新】TISFDとは?概要・指標から国内外基準との関連まで徹底解説

    2025-9-11

    【最新】TISFDとは?概要・指標から国内外基準との関連まで徹底解説

    気候変動や自然資本など、環境領域に関する開示が進みつつある中、次なるテーマは「社会」の領域。TIS…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…

ピックアップ記事

  1. 2025-11-12

    EU加盟27カ国、2040年温室効果ガス削減目標で合意 

    11月5日、欧州連合(EU)の27加盟国は、2040年までに温室効果ガス(GHG)排出を1990年…
  2. 2025年・COP30開幕!サステナビリティ経営・実務における注目テーマ整理/実務への影響解説

    2025-11-11

    2025年・COP30開幕!サステナビリティ経営・実務における注目テーマ整理/実務への影響解説

    11月10日から21日まで、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の第30回締約国会議(COP30)…
  3. 【PR】11/27   CSAを通じたESG活動の進化 ~評価視点と企業価値向上の実践アプローチ

    2025-11-11

    【PR】11/27 CSAを通じたESG活動の進化 ~評価視点と企業価値向上の実践アプローチ

    S&Pグローバル x ANAホールディングス 対談 概要 テーマ:C…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る