量子コンピューターのRiverlane、サステナブル投資で7,500万ドルを調達

8月6日、量子コンピューター企業のRiverlaneは、シリーズC資金調達で7,500万ドル(約112.5億円)を調達したことを発表した。この資金により、同社は急増するグローバル市場の需要に応えるため事業の拡大を行い、2026年までにエラーを出さずに100万回の量子コンピュータ演算を行う技術の実現を目指す。

この資金調達ラウンドは、ヨーロッパのサステナブル投資プラットフォームであるPlanet First Partnersが主導し、サステナビリティに特化したベンチャーキャピタルであるETF Partnersと、シンガポールのグローバル投資家EDBIなどが参加した。

量子コンピューティング業界は、小型でエラーが発生しやすい現在のマシンにとどまらず、QEC(量子エラー訂正)技術を統合した新世代の「フォールト・トレラント」量子コンピュータに目を向けている。

同社は、Deltaflowというコア製品を開発するために、世界最大の量子エラー修正専用チームを結成しており、100人近い専門家が参加している。Deltaflowは、主要な量子ビットを使用する量子コンピューターに適用可能であり、特許取得済みのQECチップ、ハードウェア、ソフトウェア技術が連携して、1秒間に数十億のエラーを修正する。

現在量子コンピュータは、失敗するまでに数百回の量子操作しか実行できないが、Deltaflowはこれを数百万回、そして最終的には数兆回のエラーフリーの量子操作まで引き上げる。この規模の達成により、製薬、化学、材料科学、輸送などの産業で革新的な応用が可能になる。

シリーズC資金調達により、同社は画期的なQECロードマップの実現を目指す。このロードマップは8月初めに発表されたものであり、2026年末までに100万エラーフリーの量子コンピュータ操作(QuOps)を達成するための開発パスを示している。中でも「MegaQuOp」というマイルストーンは、量子コンピュータがスーパーコンピュータではシミュレート不可能な操作を実行できる技術的な分岐点を示している。その達成により、より効率的なクリーンエネルギー貯蔵のための新しいバッテリー材料の開発や、よりクリーンな肥料生産のための新しいプロセスが可能になることが期待される。

【参照ページ】
(原文)Riverlane raises $75 million to meet surging global demand for quantum error correction technology
(日本語参考訳)リバーレーン、量子エラー訂正技術の世界的な需要の高まりに応えるため7500万ドルを調達

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