11月7日、投資大手のブラックロックとエネルギー大手のオクシデンタル(オキシ)は、ブラックロックが顧客に代わって、オキシの炭素回収に特化した子会社1PointFiveが現在建設中の世界最大の直接空気回収(DAC)施設となる予定のSTRATOSに5億5,000万ドル(約832億円)を投資する新たなパートナーシップを発表した。
本契約により、ブラックロックはその多角化インフラ事業が運営するファンドを通じて、1PointFiveと合弁会社を設立し、STRATOSを所有することになる。
DAC技術は、IEAがネット・ゼロ・エネルギー・システムへの移行における重要な炭素除去オプションとして挙げているもので、大気中からCO2を直接抽出して原料として使用したり、貯蔵と組み合わせることで永久的に除去したりする。2022年発表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の画期的な気候変動緩和研究によると、温暖化を1.5℃に抑えるシナリオには、今後数十年にわたって年間数十億トンに拡大するCO2除去方法が含まれており、DACはその大部分を占める可能性がある。
CO2を回収・貯蔵するソリューションのほとんどは初期段階にあり、DACを含め、現在のところ規模が限られている。1PointFiveは現在、テキサス州エクター郡にStratosを建設中で、完全稼動時には年間50万トンのCO2を回収する世界最大のDAC施設になると見込んでいる。
両社によると、今回の投資は施設の建設を促進するもので、2025年半ばの商業運転開始を目指している。1PointFiveはすでに、アマゾン、全日空、TD銀行などの企業とCO2除去クレジット購入契約を結んでいる。
ブラックロックは過去数ヶ月間、米国の共和党政治家たちによる声高な反ESG運動の中心的存在として大きな圧力を受けてきた。彼らは、ブラックロックが社会的アジェンダに従っている、あるいは「ボイコット」してエネルギー企業に損害を与えるよう働きかけていると非難してきた。今年初めのインタビューで、フィンクは、ブラックロックがエネルギー企業をボイコットしているという主張について、同社は実際には世界最大の炭化水素投資家の一人であり、脱炭素化への道筋について主要なエネルギー企業と積極的に協力していると指摘した。
【参照ページ】
(原文)Occidental and BlackRock Form Joint Venture to Develop STRATOS, the World’s Largest Direct Air Capture Plant
(日本語参考訳)オクシデンタルとブラックロック社、世界最大の直接空気回収プラントSTRATOSの開発で合弁会社を設立