4月21日、投資家カール・アイカーンは、マクドナルドの株主に対して、同社における動物福祉を改善する取り組みへの支援を求める書簡を発表し、同社の取締役候補2名を指名する委任状を提出した。
本書簡は、ウォール街のESGに対する「偽善」も指摘しており、「多くのウォール街の企業やその銀行家、弁護士は、社会の具体的な進歩を支えるためにほとんど十分なことをせずに、利益を上げるためにESGに乗じているように見える。」と述べている。
また、マクドナルドが妊娠ストール(子取り用の母豚を妊娠期間中に単頭飼育する個別の檻)を使用しているサプライヤーから豚肉を調達している問題に特に焦点を当て、この慣行を「動物虐待のひどい形態」と呼んだ。
マクドナルドは、2022年までのサプライチェーンにおける豚の妊娠用クレート使用の段階的な廃止にコミットしてきたが、同社は近年のCOVID-19やアフリカ豚コレラの世界的流行により、同目標を2年延期した。現在は2022年末までに目標の85~90%、2024年までに目標達成を見込んでいる。
アイカーン氏がマクドナルドの取締役に指名したのは、グリーン・センチュリー・キャピタル・マネジメント社のレスリー・サミュエルリッチ社長と、ボナペティ・マネジメント社の最高戦略・ブランド責任者のメイジー・ガンズラー氏。
本書簡は、2023年末までにサプライチェーンにおける妊娠用クレート廃止の約束、2024年までに妊娠用クレート廃止目標を米国だけでなく世界のサプライチェーンに拡大、SASBの食肉・乳製品・家禽産業に関する開示基準遵守、「妊娠用クレートを使用せずに生産した豚肉の割合」の開示などを要請した。
マクドナルドはアイカーン氏の書簡に対して声明を発表し、アイカーン氏の提案した行動について、「米国動物愛護協会(HSUS)が考え出した」不明瞭な定義に基づいていると批判した。また、マクドナルドの声明では、アイカーン氏が指名した取締役候補が非常に狭い問題に関係していると指摘し、現在の取締役を交代させることは「マクドナルドの取締役会から大きな実績を持つ貴重な取締役を外し、単一プラットフォームの候補者に置き換える。」と述べている。
【参照ページ】
(原文)Statement from McDonald’s Corporation in Response to Mr. Icahn’s Media Outreach
(日本語訳)投資家カール・アイカーン、マクドナルドの動物福祉の改善を求める書簡を発表