2月3日、EUの市場規制機関である欧州証券市場庁(ESMA)は、ESG格付け市場の規制に向けて第一歩を踏み出し、急速に成長している分野の規模と構成に関する情報を収集するために「証拠収集の呼びかけ」を行った。
投資家がESGを考慮した投資を行うようになり、ESGデータ、サービス、格付けに対する需要が急増しているが、プロバイダーの活動やビジネスは、一般的に市場や証券規制当局の対象にはなっていない。
このセクターを規制の監視下に置くという声は、ここ数カ月で勢いを増している。昨年初め、ESMAは欧州委員会の金融サービス調整官Mairead McGuinnessに書簡を出し、ESG格付けセクターの現在の規制対象外の状態とその結果生じる透明性の欠如が投資家に潜在的なリスクをもたらすと助言した。
2021年7月、欧州委員会は新たな「サステナブル・ファイナンス戦略」を打ち出し、その中でESG格付けの信頼性、比較可能性、透明性を向上させるための行動をとることを約束し、その後、ESMAに市場参加者の調査を開始するように要請した。11月には、証券規制当局の基準設定機関であるIOSCOが、ESG格付けとデータ分野の透明性向上に注力し、規制監督の適用を開始するよう規制当局に促した。
ESMAが発表した証拠提出の呼びかけによると、この新しい活動は、ESG格付けの利用者や格付けの対象となる企業からのフィードバックとともに、「EUで活動する様々なESG格付けプロバイダーの規模、構造、人材、収益、商品提供に関するイメージ」を規制当局に提供することを目的としているとのことである。コンサルテーションでは、金融市場におけるESG格付の関連性、格付が金融安定性や投資家保護に与えるリスクの程度、格付に使用される手法やデータソースの透明性に対する満足度などに関する市場参加者の見解が取り上げられている。
証拠収集は3月11日まで回答を受け付けており、ESMAは2022年第2四半期に欧州委員会に情報を提供することを目標としている。
【参照ページ】
(原文)ESMA LAUNCHES CALL FOR EVIDENCE ON ESG RATINGS
(日本語訳)ESMA、ESGレーティングに関する証拠収集の呼びかけを開始