日本企業のサステナビリティ開示、財務情報との関連性に課題 金融審議会議事録を公開

10月23日、金融庁は、9月4日に開催した金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第6回)の議事録を公開した。会合では、日本IR協議会とノルウェー政府年金基金の運用主体であるノルウェー銀行インベストメント・マネジメント(NBIM)が企業情報開示の課題を説明。サステナビリティ情報と財務情報の関連性や、複数の開示媒体における情報の重複などが議論された。
サステナビリティ情報と財務情報の関連性
NBIMの説明者は、日本企業6社と海外企業4社の開示資料を分析した結果、サステナビリティ関連リスクの説明と、財務数値や財務諸表の注記、経営計画の前提条件などとのつながりを原則として確認できなかったと指摘した。一方、気候変動に伴う防災対策の資産・費用を数値で示し、財務諸表の注記にも関連付けた事例を評価した。
開示媒体の重複と情報の分散、統合報告書の役割も論点に
日本IR協議会は、上場企業の情報開示が拡充する一方、有価証券報告書や統合報告書など複数の媒体で内容の重複が生じていると説明した。2025年の調査では、統合報告書を制作する企業の割合は日本語版51.0%、英語版46.2%だった。
会合では、開示媒体の整理・統合を進める場合の対応として、法定開示書類間の相互参照や、企業固有の事情を反映したリスク情報の充実などが論点となった。また、海外投資家との情報格差を縮小する観点から、有価証券報告書の英語版を日本語版と同時に提供することや、株主総会前に十分な情報提供期間を確保するための開示スケジュールの見直しについても提案が示された。
統合報告書などの任意開示媒体については、単に廃止・集約するのではなく、法定開示との役割分担や投資家との対話における活用方法を踏まえた検討が課題となる。
SSBJ対応と開示体制の見直し
委員からは、SSBJ基準への対応を見据え、財務情報と関連付けたサステナビリティ情報の開示を確保しながら、企業と投資家双方の負担を抑える必要があるとの意見が出された。また、IR・財務・サステナビリティ部門などの担当分担による情報の重複や不整合を踏まえ、開示方針やプロセスに対するガバナンスの重要性も指摘された。
一方、法定開示への情報集約については、統合報告書などの任意開示媒体が投資家との対話で果たす役割も踏まえ、慎重に検討すべきとの意見が示された。※なお、今回の会合で制度変更が決定されたわけではない。
参考:金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第6回)議事録
関連解説|財務と非財務情報のつながりをどう説明するか
投資家が重視するのは、サステナビリティ関連リスク・機会が企業の経営や財務にどう影響するかという点である。SSBJ基準への対応を進める企業にとっても、財務・非財務情報の関連性を具体的に説明することが重要となる。
ESG Journalでは、財務と非財務情報の関連性を示すための実践ステップを解説している。
<実務ポイント>
SSBJ基準の開示において「非財務と財務の関連」をどのように整理すべきか実務的な観点から整理
つながりをどう説明するか

