GPIF、ESG評価の活用と課題を提示 約12.4兆円をESG指数で運用

8月31日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、「2025年度 サステナビリティ投資報告」を公表した。ESG指数投資やスチュワードシップ活動、サステナビリティ関連リスクの分析など、2025年度の取り組みをまとめた。報告書では、投資におけるESG評価の活用状況を示す一方、評価会社による評価の違いや、評価手法の透明性向上の重要性についても取り上げている。
GPIFは2026年3月末時点で293.64兆円を運用しており、このうちESG指数に基づく運用資産額は約12.4兆円に上る。GPIFは2017年度からESG指数への投資を開始し、現在はMSCIやFTSE Russell、S&P、Morningstarなどが提供する国内外9つのESG指数を採用している。
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ESG指数では、企業のESG評価が銘柄選定や投資ウェイトに反映される。例えば、FTSE JPX Blossom Japan IndexはFTSE RussellのESG評価を用いて評価の高い銘柄を選別する。MSCI日本株ESGセレクト・リーダーズ指数も、MSCIのESGリサーチを基に、業種内でESG評価が相対的に高い企業を組み入れている。
テーマ型指数でも企業のESG情報が投資判断に利用されている。S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数では、同業種内で炭素効率性が高い企業に加え、温室効果ガス(GHG)排出量に関する情報開示を行っている企業の投資ウェイトを高めている。
一方、GPIFはESG評価そのものが抱える課題も示している。ESG評価の精度向上には企業側の情報開示が必要である一方、企業がESG課題や開示の改善に効率的かつ的確に取り組むためには、指数会社やESG評価会社が「どのように評価しているのか」を明確にすることも重要との考えを示した。
GPIFは2017年に国内株式を対象としたESG指数を選定して以降、指数会社やESG評価会社との対話を継続している。ESG指数の選定に際しては、ESG評価だけでなく、指数会社の組織・ガバナンス体制、ESG評価の透明性、企業とのコミュニケーションなども重視しており、採用後も継続的に対話を実施している。また、採用するESG指数の指数会社・ESG評価会社に対しては、評価メソドロジーや評価内容について企業と積極的に対話するよう求めている。
企業側からも評価手法の明確化を求める声がある。GPIFが2025年度に実施した上場企業向けアンケートでは、指数会社への意見として、評価メソドロジーや評価内容の明確化、照会への対応スピード、企業の取り組み改善につながる情報開示などが挙げられた。GPIFは今後も、企業と指数会社・ESG評価会社との対話促進に取り組むとしている。
2026年3月末までの推移では、国内株式、外国株式ともに2017年度の定点観測開始以来、ESG評価の改善が確認された。直近1年間でも、FTSE RussellとMSCIの双方で国内・外国株式のESG評価スコアが上昇した。GPIFの株式ポートフォリオのESG評価は、国内株式、外国株式ともに政策ベンチマークをわずかに上回った。
また、GPIFはFTSE RussellとMSCIによる企業のESG評価の相関関係についても継続的に分析している。評価会社によって評価結果が異なり得ることを踏まえ、複数の評価を用いてESG投資の効果を多面的に検証している。
GPIFの取り組みからは、ESG評価が単なる企業ランキングではなく、指数への組み入れや投資ウェイトを通じて機関投資家の資金配分に関係する情報の一つとなっていることが分かる。一方、評価手法や評価結果には評価会社による違いもある。企業には評価スコアそのものを目的とするのではなく、自社の重要なESG課題への取り組みと情報開示を充実させ、評価会社や投資家に適切に伝えていくことが重要となる。
原文:GPIF「2025年度 サステナビリティ投資報告』を刊行しました」
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