11月10日 、世界の自動車メーカーは2030年までにEVやバッテリーに5,150億米ドル(約59兆円)以上の投資計画を発表した。自動車購入者の化石燃料からの脱却や、ますます厳しくなる脱炭素目標の達成に向けた投資を強化していく。
3年前、自動車会社はEVとその関連技術に3,000億米ドル(約33兆円)の投資を計画していた。しかし、ロンドンやパリなどの都市や、ノルウェーから中国に至るまでの国々でゼロカーボン義務化が迫っていることから、業界のEV関連投資のコミットメントはさらに緊急性を増している。
最新の分析によると、自動車メーカーは今後5年から10年の間に、バッテリー駆動の新型車を開発・製造し、内燃機関からの脱却を図るため、推定で5,150億ドル(59兆円)の支出を計画している。
しかし、業界の幹部や予測担当者は、大幅な追加のインセンティブや、充電インフラやグリッド容量へのさらなる投資がなければ、EVに対する消費者の需要が積極的な目標を大きく下回る可能性があると懸念している。
他の調査では、異なる支出予測が出されている。コンサルティング会社AlixPartnersは6月、自動車業界のEVへの投資額が2025年までに3,300億ドル(約37兆円)に達すると発表した。AlixPartners社によると、2020年には世界の全自動車メーカーを合わせて、資本支出と研究開発に約2,250億ドル(約25兆円)を費やす。
世界最大のEVメーカーであるテスラ社(TSLA.O)は、ベルリンとオースティン近郊に数十億ドル規模の「ギガファクトリー」を新設して、年間生産能力を大幅に向上させる準備を進めている。11月初旬には、同社の評価額は1.2兆ドル(約137兆円)に達し、フォルクスワーゲン、トヨタ自動車、フォード・モーター、ゼネラル・モーターズの合計額の2倍以上となっている。
一方、世界の自動車メーカーに対しては、今後10年から15年の間に、ガソリンと電気のハイブリッド車を含む化石燃料車の生産を段階的に縮小する一方で、完全なEVの生産を拡大するよう、政治的・規制的な圧力がかけられている。
また、シンガポールやスウェーデンなど多くの国が、2030年までに新型エンジン車の販売を禁止すると発表している。米国のジョセフ・バイデン大統領は、2030年までに販売台数の40%から50%をEVにすることを目指している。
ドイツや中国などもEVの積極的な展開計画を立てている一方で、日本の自動車メーカーを見ると、本田技研工業、トヨタ自動車、日産自動車の3社が発表した投資額は、合計で400億ドル(3兆6000億円)にも満たず、世界に対し大きく後れを取っているとみられている。
【参照ページ】
(参考記事)Exclusive: Global carmakers now target $515 billion for EVs, batteries
(日本語訳)世界の自動車メーカー、EVとバッテリーに約59兆円の予算を設定