MSCI、物理的リスクへの対応を調査 投資・ガバナンス・資金調達への組み込みが課題

8月19日、MSCI Institute(MSCI)は、シンガポールの金融・企業関係者による議論をまとめたレポート「Scaling Finance for Adaptation and Resilience」を公表した。気候変動による物理的リスクへの認識が高まる一方、企業や投資家がその認識を実際の投資やガバナンス、資金調達につなげることが依然として課題となっていると指摘した。
同レポートは、UN Global Compact Network SingaporeがEcosperity Week 2026にあわせて開催した8つのラウンドテーブルでの議論をもとにまとめられている。MSCIが、調査面で協力し、リスク、サステナビリティ、金融分野のシニアリーダー70人以上が参加した。DBSやHSBC、MUFG、Standard Chartered、Swiss Re、Temasek、Schneider Electric、SGX、GRI、国連機関など、金融機関や企業、国際機関を含む幅広い組織が参加している。
議論では、物理的リスクへの認識を具体的な行動につなげるため、6つの実務的なポイントが示された。
- 拠点データとリスク評価の重要性
- 適応への投資を可視化する必要性
- ガバナンスへの組み込み
- 官民共通の課題として捉えること
- 保険の役割の重要性
今回のレポートからは、企業の気候変動対応が、排出削減を中心とした「緩和」だけでなく、すでに顕在化しつつある物理的リスクに備える「適応・レジリエンス」へ広がっていることがうかがえる。
MSCIは、2026年3月に公表した別の調査でも、MSCI ACWI Indexの構成企業を対象に気候変動への適応・レジリエンスに関する取り組みを分析。対象企業の89%で、少なくとも1つの物理的ハザードに対して事業のレジリエンスを高める取り組みが確認されるとの報告をしている。
物理的リスクが資産や事業運営、サプライチェーン、保険・金融条件に影響するなか、企業にはリスクを把握するだけでなく、拠点情報やサプライチェーンを含めたリスク評価を行い、投資計画やガバナンス、事業継続の意思決定へ組み込んでいくことが求められそうだ。
原文: How financial and business leaders in Singapore are addressing physical climate risk
日本語訳:シンガポールの金融・ビジネスリーダーたちは、どのように気候変動による物理的リスクに対処しているのか
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