PPWR対応の実務とは―適合性評価・スケジュールを整理

2026年8月12日、欧州でEU包装・包装廃棄物規則(PPWR)の適用が始まる。本規則では、食品接触包装におけるPFAS規制や重金属規制に加え、製造事業者には適合性評価、技術文書、EU適合宣言書(DoC)の整備が求められる。
さらに2030年以降は、リサイクル可能な設計や再生プラスチック利用率、再利用目標など、包装設計そのものの見直しが本格化する。
本稿では、PPWRの全体像を整理したうえで、包装区分ごとの要件、日本企業の販売形態別の対応、今後の適用スケジュールを解説する。
PPWRとは
PPWRは、包装の設計、製造、上市、使用、回収・リサイクルまで、包装のライフサイクル全体を対象とするEUの包括的な規則である。従来の包装・包装廃棄物指令(PPWD)に代わり、EU規則として加盟国への国内法化を経ることなくEU全域で直接適用される。
※PPWRに含まれるEPR制度(拡大生産者責任)の登録方法や運用など、加盟国に委ねられている事項については、各国が実施法や運用制度を整備する。
PPWRでは、包装そのものに対する環境要件(素材や材質など)だけでなく、包装を市場へ供給する事業者ごとの管理責任も定められている。たとえば、製造事業者(Manufacturer)には適合性評価やEU適合宣言書(DoC)の作成・保管を、生産者(Producer)にはEPRに基づく登録や報告など、それぞれ異なる義務が課される。
このため、日本企業も自社がどの立場に該当するのかを整理したうえで対応を進める必要がある。
なお、PPWRでいう「製造事業者(Manufacturer)」と「生産者(Producer)」につき、前者が包装がPPWRの要求事項に適合していることを保証する立場(責任者)であり、後者の生産者は、EPR制度において加盟国への登録や市場投入量の報告、EPR料金の負担を行う主体である。ただし、販売形態によっては同一企業が両方に該当する場合もある。
<PPWRの全体像>
| PPWR内の構成要素 | 対象 | 主な内容/対応 |
| 包装への要求事項 | 包装 | PFAS・有害物質規制、リサイクル可能設計、再生材利用率、包装最小化など |
| 適合性評価 | 製造事業者 | 適合性評価手続き、技術文書、EU適合宣言書(DoC)、文書保管 |
| 拡大生産者責任(EPR) | 生産者 | 加盟国への登録、定期報告、費用負担 |
| 表示制度 | 包装 | 素材表示、堆肥化表示、QRコード等によるリサイクル情報 |
なお、PPWRでは包装の種類によって適用される要件が異なる。制度対応では、まず自社の包装がどの区分に該当するかを整理することが重要である。
PPWRで用いられる主な包装区分
- 内容物・用途による分類:食品接触包装(Food-contact packaging)、接触注意包装(Contact-sensitive packaging:食品、飼料、化粧品、医薬品、医療機器など)、一般包装
- サプライチェーン上の役割による分類:販売包装(一次包装)、グループ化包装(二次包装)、輸送用包装(三次包装)、Eコマース用包装、サービス包装、テイクアウト用包装、一次生産包装
- 使用回数による分類:再利用可能包装、使い捨て包装
- 素材・構造による分類:複合包装、堆肥化可能包装、家庭用堆肥化可能包装、革新的包装
- プラスチック製買い物袋:超軽量、軽量、厚手、極厚
実務ポイント
PPWRでは要件ごとに対象となる包装区分が異なる。例えば、PFAS規制は食品接触包装に適用される一方、接触注意包装(Contact-sensitive packaging)は、主に再生プラスチック利用率など一部要件で用いられる区分である。そのため、制度対応では、まず自社包装がどの分類に該当するかを整理することが重要となる。
PPWRで変わるEPR(拡大生産者責任)
EPR(Extended Producer Responsibility)は、包装を市場へ供給する生産者が、包装廃棄物の回収・分別・リサイクルなどに要する費用を負担する制度である。PPWRの適用より、生産者の責任や加盟国による登録制度、報告などの枠組みが整理・強化された。
実務上は、EU共通の登録制度ではなく、販売先となる加盟国ごとにEPR制度が運用されている。登録先や報告様式、料金体系は加盟国ごとに異なり、PPWRではEU共通の登録様式の整備が予定されているものの、本稿執筆時点では実施法は公表されていない。このため、日本企業は販売先ごとの制度を確認し、現地の認可代表者や生産者責任組織(PRO)と連携した登録・報告体制を構築することが重要となる。
以降では、EU適合宣言書(DoC)や2040年までの適用スケジュールなど、制度の詳細について解説していく。
🔓会員登録して続きを読みましょう!
続きでは、PPWRの制度対応における実務ポイントや欧州への進出パターンごとの対応実情について解説しています。自社の対応スケジュール検討や影響把握の基礎資料としてご活用ください。
・EU適合宣言書(DoC)に関する記載事項の説明
・日本企業への影響および進出パターン(拠点の有無、越境ECの場合など)ごとの対応内容
・今後のスケジュール(2040年まで)
つづきは無料会員登録(名前・メール・会社名だけ入力)を行うと閲覧可能
すでに登録済みの方はログイン
ESG Journalでは、実務に役立つポイントや実践ガイド(テンプレート)を紹介しています!ESG評価が多様化しAIの活用も進む中どのような対応が求められるか実務解説しています。ぜひこの機会に自社の対応状況を再確認してください。
🌍サステナビリティ経に関連する実務解説はこちら>>>
すでに登録済みの方はログイン
<執筆者>

竹内愛子
国際関係学に関する修士号を取得。総合コンサルティングファームにて、システムおよび戦略コンサルティングに従事した後、Big4ファームのアドバイザリー部門にて、ガバナンス・リスクマネジメントや統合報告に関する企業向け支援に携わる。
2022年より ESG Journal にて、サステナビリティ経営の観点から、情報開示実務やそれを支えるシステム活用をテーマに、オリジナル解説およびホワイトペーパーの執筆を行っている。



