SSBJ基準対応の実務:押さえておきたいチェックポイント

SSBJ基準の公表・開示府令の改正により、日本でもサステナビリティ情報の法定開示が本格的に制度化されつつある。
一方で、現場では「データの収集の範囲はどこまで対象か」「スコープ3はどの程度の精度が求められるのか」「財務情報との関係をどのように説明すればよいのか」など、具体的な対応に課題を感じている場合があるだろう。
こうした実務上の論点については、SSBJが公表している「SSBJハンドブック」が参考になる。SSBJハンドブックは、サステナビリティ開示基準(SSBJ基準)を実務で適用する企業を支援するために作成された実務的な解説資料である。
基準そのものを構成する文書ではなく強制力を持つものではないが、企業が実務上迷いやすいポイントを理解するための参考資料として活用できる。
本稿では、SSBJ基準対応において企業が直面しやすい実務的な疑問を整理するとともに、SSBJハンドブックの内容も参照しながら、サステナビリティ担当者が押さえておきたい実務上のチェックポイントを解説する。
※本記事はあくまでESG Journalの見解に基づくものであり、SSBJ基準への準拠性を保証するものではありません。
SSBJ基準対応における主な課題
実務対応において多くの企業が直面する論点として以下が挙げられると考える。
主な疑問例
- サステナビリティ情報の範囲対象
- スコープ3の算定
- データの算定期間が報告期間とずれる場合
- リスクや機会の基準・特定・評価
- 戦略に関する情報の開示
- サステナビリティ情報と財務情報の結合
- 過去に開示した情報との整合性
- 情報の誤りが判明した場合の説明
以下では、各疑問についての対応例を紹介していく。
どこまでを対象として収集すればよいのか(サステナビリティ情報の範囲対象)
チェックポイント
- サステナビリティ情報の収集範囲は財務連結範囲と整合しているか
- 子会社のうち重要性が低い対象について除外の判断基準を整理しているか
- バリューチェーンの対象範囲をリスク・機会ごとに判断しているか
- サステナビリティ情報の報告対象は、原則として財務報告の連結範囲(子会社を含む)と一致させる必要がある。
ただし、特定のリスクや機会に関して重要性がないと判断される子会社については、情報を除外することも可能である。また、海外子会社や関連会社などバリューチェーンを含める場合も、リスクや機会ごとに範囲を判断し、網羅性よりも自社にとっての重要性を優先して決定することになる。
参考:報告企業としてサステナビリティ関連財務情報を収集する範囲 バリュー・チェーンの範囲の決定
スコープ3の算定方法は?
チェックポイント
- スコープ3の重要カテゴリーを特定しているか
- 活動量データと排出係数による推計算定の方法を整理しているか
- サプライヤーデータが取得できない場合の対応方針を決めているか
スコープ3の算定では、全カテゴリーを網羅することよりも、排出規模や財務的影響に基づく重要性の判断が優先されると言える。主要なカテゴリーを特定し、自社で把握できる活動量に公表された排出係数を掛け合わせるなど、推計値での算出が認められている。
また、サプライヤーから一次データを取得できない場合には、データ取得の努力とその限界を説明したうえで、代替手段による算定を行うことが認められている。
ただし、スコープ3については第三者保証の対象になるまで時間的猶予はあるので算定方法における体制を整備することへの検討が可能である。
参考:スコープ 3 温室効果ガス排出の報告と重要性 スコープ 3 温室効果ガス排出の測定にあたって1 次データ及び 2 次データがいずれも利用可能な場合 スコープ 3 温室効果ガス排出の測定におけるサンプリングの考え方
ここまで、SSBJ対応の初期段階で多くの企業が直面する「データ収集」と「GHG算定」に関する実務ポイントを整理した。以降では、より高度な実務判断が求められる事項について解説する。続きを読んで論点を把握してほしい。
- データのズレ期間
- リスクや機会の重要性判断
- 非開示の判断
- 財務情報との接続
- 比較情報の更新
- 開示後の訂正対応
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<執筆者>

竹内愛子
国際関係学に関する修士号を取得。総合コンサルティングファームにて、システムおよび戦略コンサルティングに従事した後、Big4ファームのアドバイザリー部門にて、ガバナンス・リスクマネジメントや統合報告に関する企業向け支援に携わる。
2022年より ESG Journal にて、サステナビリティ経営の観点から、情報開示実務やそれを支えるシステム活用をテーマに、オリジナル解説およびホワイトペーパーの執筆を行っている。

