ESMAのESG評価機関規則がもたらす変化と企業への影響(26年7月適用)

ESMAのESG評価機関規則がもたらす変化と企業への影響(26年7月適用)

2025年6月20日、欧州証券市場監督局(ESMA)が策定を進める新たなESG評価規則「Regulation (EU) 2024/3005」の運用に向けたコンサルテーションに対し、ノルウェー公的年金基金GPFGの運用を担っているノルウェー銀行投資管理部門(NBIM)が重要な提言を提出した。

この動きは、これまで「ブラックボックス」とされてきたESG評価の世界に透明性をもたらし、評価機関からのESG調査への回答実務への影響を与えうるものと考えられる。本稿では、このESMAの新たなESG評価規則の背景と概要、そしてNBIMの提言内容を解説するとともに、日本企業のESG評価に具体的にどのような影響を与えるのかを予測していく。

ESMA:ESG評価機関規則とは

近年、ESG投資の急速な拡大に伴い、欧州におけるESG評価の「質のばらつき」や「透明性の欠如」が課題となっていた。

こうした流れを受けて、EUは、投資家保護と市場の健全性確保のため、2024年末にESG評価機関規則(Regulation (EU) 2024/3005)を公布した。

この新規則は、2026年7月2日から適用が開始され、EU域内外を問わず、EU市場で活動する全てのESG評価プロバイダーに対し、ESMA(欧州証券市場監督局)への登録・認可を義務付けるものだ。
なお、EUの主要なESG評価機関が日本企業を評価している。これらの評価機関がESMAの監督下に入ることを考慮すると本規則の動向を注視する必要があるだろう。

以下、本規則の適用がESG評価に対応する企業にとってどう影響するか説明していく。


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執筆者紹介

竹内 愛子 (ESG Journal 専属ライター)
大手会計事務所にてサステナビリティ推進や統合報告書作成にかかわるアドバイザリー業務に従事を経て、WEBディレクションや企画・サステナビリティ関連記事の執筆に転身。アジアの国際関係学に関する修士号を取得、タイタマサート大学留学。専門はアジア地域での持続可能な発展に関する開発経済学。

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