4月18日、マイクロソフト、二酸化炭素回収技術企業のAker Carbon Capture、二酸化炭素除去プロジェクト開発企業のCO280は、物理的なプロジェクト開発からデジタル測定、追跡、検証、報告に至るまで、バリューチェーン全体にわたって二酸化炭素除去市場を拡大することを目的とした新たな協力関係の開始を発表した。
画期的な2022年の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の気候変動緩和研究によると、温暖化を1.5℃に抑えるシナリオには、今後数十年にわたって年間数十億トンにまで拡大する二酸化炭素除去方法が含まれている。
しかし、同報告書はまた、CO2を回収・貯蔵する既存の解決策は複数存在するものの、そのほとんどは初期段階にあり、現在のところ規模が限定的であるとも指摘している。さらに、炭素除去のようなプロジェクトによるカーボン・オフセットは、品質と検証の問題に直面しており、参加者は、プロジェクトの有効性を評価・追跡するためのデータが不十分であったり、一貫性がなかったりするため、質の高いプロジェクトと低いプロジェクトを区別できないことが多い。
ノルウェーを拠点とするアーカー・カーボン・キャプチャー(ACC)は、2020年にエネルギー・サービス企業のアーカー・ソリューションズから独立し、産業プラントからのCO2排出を削減・除去する独自の炭素回収技術を提供している。同社のソリューションは、水と有機アミンの混合溶媒を使用してCO2を吸収するもので、ガス、石炭、セメント、製油所、バイオ・廃棄物発電、水素など幅広い分野に適用できる。エネルギーサービス会社のSLBは先月、ACCの株式の過半数を取得することで合意したと発表した。
バンクーバーに本社を置くCO280は、パルプ・製紙業界におけるバイオマス炭素除去・貯留プロジェクトを開発しており、パルプ・製紙会社との提携による大規模な二酸化炭素除去(CDR)プロジェクトへの融資、開発、所有、運営を含め、年間1,000万トン以上の恒久的CDRを開発中である。両社によると、北米のパルプ・製紙業界は、年間最大1億3,000万トンの炭素除去の機会を有しており、平均的な工場のCO2排出プロファイルは80%〜90%が生物起源であるという。
マイクロソフト、Aker 、CO280は、新たな協力関係のもと、CO280の開発パイプラインにあるものを含む、米国およびカナダにおける炭素回収プロジェクトの開発、パルプ・製紙工場における炭素回収の技術的・経済的実現可能性を評価するための標準的かつ効率的なスクリーニングプロセスの共同開発、パルプ・製紙における炭素回収プロジェクトのライフサイクル評価および測定・検証・報告(MRV)システムの標準化、CO280社が計画するプロジェクトをマイクロソフト社の「高品質炭素除去基準」に照らし合わせて比較するためのデジタルツールの作成について検討する。
両社はまた、政策を提唱し、統合性の高い炭素除去の創出と利用を含む紙パルプの炭素除去市場を促進するためのソートリーダーシップを発揮していくと述べた。
この新しいパートナーシップは、マイクロソフトによる炭素除去市場の支援と参加に関する一連の発表の最新版であり、同社はここ数ヶ月の間に、幅広いCDR技術にまたがるいくつかの炭素除去案件を発表しており、2030年までにカーボン・マイナスになるというマイクロソフトのイニシアティブの一部を形成している。マイクロソフトは、「炭素属性を正確に追跡し、可能な限りシンプルに確実なクレジットを生成するデジタルバリューチェーンを構築することを含め、CDRのための強固な市場を創出することにコミットしている 」と付け加えた。
【参照ページ】
(原文)CO280 and Aker Carbon Capture collaborate with Microsoft to scale-up permanent, affordable carbon removal in US and Canada
(日本語参考訳)CO280とAker Carbon Captureがマイクロソフトと協力し、米国とカナダで恒久的で安価な炭素除去を拡大