3月28日、オーストラリアの連邦裁判所は、バンガード・インベストメンツ・オーストラリアが、同社のESGファンドの1つに関して、コミュニケーション資料や開示資料で主張されている通りに、化石燃料活動を行う企業への投資をファンドから除外していないなど、誤解を招くような主張を行ったとして有罪判決を下した。
バンガードに対する訴訟は、オーストラリアの企業・市場・金融サービス規制当局であるオーストラリア証券投資委員会(ASIC)が2023年に開始したもので、マーシュ・マクレナンのマーサー・スーパーニュエーション(Mercer Superannuation)やスーパーアニュエーション・ファンドのアクティブ・スーパー(Active Super)に対する訴訟を含む、同規制当局によるグリーンウォッシュに焦点を当てた一連の訴訟の一環である。ASICのジョセフ・ロンゴ委員長は、投資ファンドや金融商品の提供者に対し、規制当局が誤解を招くような持続可能性の謳い文句に注意を払い、ファンド・マネージャーや発行者がグリーンウォッシングに巻き込まれないようガイダンスを示していると警告した。
今回の判決は、ASICにとって初のグリーンウォッシュ民事罰措置となる。判決を受け、ASICのサラ・コート副委員長は「持続可能な投資を主張する企業に対し、真の立場を反映する必要があるという強いメッセージを送るものだ」と述べた。
バンガードのESGファンド「バンガード・エシカル・コンシャス・グローバル・アグリゲート・ボンド・インデックス・ファンド」は2018年にローンチされ、化石燃料、アルコール、タバコなどを含む分野に関連する活動を行う企業を除外するようスクリーニングされた国際債券投資へのエクスポージャーを投資家に提供するように設計された。同ファンドはブルームバーグ・バークレイズMSCIグローバル・アグリゲートSRI除外フロート調整インデックスに追随し、バンガードはこれらの分野で重要な活動を行う発行体を除外していると主張した。このファンドの運用資産は10億豪ドル(約1兆円)を超えていた。
しかし、ASICはこの訴訟の中で、ファンドの債券発行体のかなりの割合についてESGリサーチが実施されておらず、投資家がシェブロン・フィリップス・ケミカルやアブダビ原油パイプラインなどの発行体を含む化石燃料と関係のある投資対象にさらされていると主張した。
2023年の訴訟開始後、バンガードは、インデックス・プロバイダーやバンガードのディスクロージャー・ステートメントに記載された除外スクリーンの説明が、”リサーチ・カバレッジを欠く特定の債務発行体が依然としてベンチマークに含まれているという十分詳細な説明を提供していない “ことを発見し、2021年初めにASICに自己確認と自己申告を行ったと発表した。バンガードは、投資家に情報を提供し、ファンドの情報開示を強化したと付け加えた。
【参照ページ】
(原文)ASIC wins first greenwashing civil penalty action against Vanguard
(日本語参考訳)ASIC、バンガードに対するグリーンウォッシュ民事罰裁判で初勝利