2月9日、デンマークを拠点とする海運世界大手のA.P. Moller – Maerskは、スコープ3を含むバリューチェーン全体での2040年のカーボンニュートラル目標について、科学的根拠に基づく削減目標イニシアティブ(SBTi)からネットゼロ・スタンダードでの承認を得たと発表した。これは、SBTiが2022年後半に策定した新たな海事ガイダンスに基づく承認であり、業界では初の取り組みである。
同社の長期目標では、2040年までにスコープ1とスコープ2の二酸化炭素排出量を2022年比で96%削減し、スコープ3では90%削減する計画である。特に、コンテナ船事業における排出量削減に焦点を当てており、燃料生産から航行までの段階で96.2%の削減を目指す。その他のスコープ1とスコープ2排出量も90%削減し、残余排出量をオフセットすることでカーボンニュートラルを達成する。
短期目標では、2030年までにスコープ1での二酸化炭素排出量を2022年比で34.7%削減し、スコープ3排出量を21.9%削減する予定である。具体的には、コンテナ船事業や下請けコンテナ海運事業からの排出量を大幅に削減し、再生可能エネルギーの調達量も引き上げる計画である。
Maerskは、自社事業での二酸化炭素排出量削減において、グリーン燃料と燃料効率の改善を重視している。また、世界海運協議会(WSC)の加盟企業と共に、国際海事機関(IMO)の第81回海洋環境保護委員会(MEPC81)で、具体的なグリーンバランスの提案を行う予定である。
さらに、同社は顧客企業の多くが科学的根拠に基づく削減目標の設定に取り組んでいることも明らかにした。この取り組みは、環境保護と持続可能性に向けた海運業界の重要な一歩となる。
【参照ページ】
(原文)Maersk becomes first to have climate targets validated by SBTi under the new Maritime Guidance
(日本語参考訳)マースク、新海事ガイダンスの下、SBTiによる気候変動目標の検証を受けた最初の企業となる