欧州委員会、2040年までに90%の二酸化炭素排出削減目標を提案

2月6日、欧州委員会はEUの2050年までにカーボンニュートラルを達成するためのロードマップに関する詳細な影響評価結果を発表した。その結果、2040年までに二酸化炭素排出量を1990年比で90%削減する必要があると勧告された。これに基づき、今後、EU加盟国を含む全てのステークホルダーとの協議が開始される予定である。

この評価は、欧州科学諮問委員会(ESABCC)が担当した。EUでは、最新の5年平均で気温が産業革命以降に2.2℃上昇し、気候関連の経済被害は過去5年間だけで1,700億ユーロ(約27兆円)に上ると推定されている。ESABCCは、現在の排出水準が続く場合、EUのGDPが約7%低下する可能性があると指摘したが、気候変動緩和を強化することで経済的利益や健康上の利益が得られるとも述べた。

欧州委員会は、2040年までに90%の削減目標を達成するためには、2030年の55%削減目標の完全な実施や産業競争力の確保、公正な移行への注力、国際パートナーとの公平な競争条件の確保など、いくつかの条件が必要だと強調した。また、エネルギー部門では再生可能エネルギー、原子力発電、省エネ、バッテリー技術などの脱炭素ソリューションが重要であり、運輸部門や農業部門でも技術的ソリューションとカーボンプライシングの組み合わせが強化される必要があると述べた。

【参照ページ】
(原文)Commission presents recommendation for 2040 emissions reduction target to set the path to climate neutrality in 2050

関連記事

“導入事例へのリンク"

おすすめ記事

  1. 2024-4-16

    SSBJ公開草案の重要ポイント解説:今後の気候変動の情報開示はどう動くか

    2024年3月29日、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が国内のサステナビリティ開示基準の草案…
  2. 2024-4-9

    SBTN(Science-Based Targets for Nature)とは。企業のネイチャーポジティブ経営を実現する目標設定の方法論を解説。

    TNFDのフレームワークが公開され、先進企業ではフレームワークに基づく情報開示が進みつつある(20…
  3. 2024-4-2

    【さくっと読める】TNFDの開示とは。重要ポイントを抽出。

    2023年9月、TNFDのフレームワークが完成し公開された。2023年時点でTNFDに基づく開示を…

ピックアップ記事

  1. 2024-5-2

    環境NGO、MUFG、SMFG、みずほFG、中部電力に気候変動株主提案を再提出

    4月15日、環境NGOの3団体は、MUFG、SMFG、みずほFG、中部電力の4社に対し、気候変動株…
  2. MUFG

    2024-4-30

    MUFG、サステナブルファイナンス目標を100兆円に引き上げ

    4月1日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、サステナブルファイナンスの実行額目標を…
  3. 2024-4-30

    経産省とJPX、SX銘柄2024として15社を選定

    4月23日、経済産業省と東京証券取引所(JPX)はサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX…
ページ上部へ戻る