12月20日、カナダ政府は、カナダ成長基金(CGF)を通じて、カルガリーに拠点を置く炭素回収スタートアップのEntropyに2億ドル(約300億円)の投資を行うとともに、年間最大100万トンの長期固定価格炭素クレジット購入契約を締結したと発表した。 同社は、排出量が多いために排出量削減が困難な産業の脱炭素化を支援するプロジェクトを行う。
カルガリーに本拠を置く天然ガス会社Advantage Energyとエネルギーに特化したプロフェッショナル・サービス・プロバイダーAllardyce Bower Consultingによって2020年に設立されたEntropyは、産業発生源での燃焼前および燃焼後の排出物を捕捉および隔離するモジュール式炭素回収および貯蔵施設を開発している。 アルバータ州のグレイシャー・ガス工場で同社初の商業用天然ガス焚き炭素回収・隔離(CCS)プロジェクトが2022年稼働した。
Entropyは2022年、ブルックフィールド・グローバル・トランジション・ファンドを通じてブルックフィールドから3億ドル(約400億円)の投資を発表した。
2022年発表された画期的な気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の気候変動緩和研究によると、温暖化を1.5℃に抑えるシナリオには、今後数十年間で年間数十億トンの除去にスケールアップするCO2除去方法が含まれている。
ただし、CO2を回収して貯蔵するソリューションのほとんどは初期段階にあり、現時点では規模が限られており、多額の初期開発投資が必要となる。 S&P グローバル・レーティングによる最近のレポートでは、財務上の不確実性に起因する CCSプロジェクトが直面する重大なリスクが強調されている。
Entropyによると、CGFとの新しい炭素クレジットオフテイク(CCO)契約の大規模かつ長期固定価格は、民間CCS開発のリスクを軽減し加速するのに役立ち、新しい契約の締結に伴い、同社は暫定的な契約を発表した。
本契約に基づき、CGFはEntropyのプロジェクトから15年間にわたり年間60万トン(tpa)で最大900万トンの炭素クレジットを購入することを約束しており、年間最大185,000トン、初期価格1件あたり86.50ドル(約12,000円)で購入することを約束した。
【参照ページ】
(原文)Deputy Prime Minister welcomes the Canada Growth Fund’s first carbon contract for difference
(日本語参考訳)カナダ、CO2回収スタートアップのエントロピーに300億円投資