11月13日、米国最大級の公的年金基金であるカリフォルニア州公務員退職年金制度(CalPERS)は、ネット・ゼロ・エミッション・ポートフォリオへの移行を加速させることを目的とし、2030年までに気候変動対策に1000億ドル(約15兆円)を投資するという新たな誓約を含む、新たな「持続可能な投資2030戦略」を発表した。
新戦略はまた、CalPERSが投資先企業のネット・ゼロ計画に関与し、炭素排出削減のための信頼できる計画を持たない企業への投資から撤退するための行動も概説している。 管理委員会の投資委員会に対するプレゼンテーションで、カルパースは新しい持続可能な投資計画の主な目的を概説した。その中には、気候変動対策や新興の多様な運用会社への投資によるアウトパフォーマンスの創出、気候変動リスク分析を含むESG分析を完全に統合することによるポートフォリオの回復力の向上、投資、関与、アドボカシーを通じたネット・ゼロへの道のりの実行、金融業界やより広範な経済におけるより大きな包摂と代表性の促進、アドボカシーと規制措置による効率的で公平な金融市場の促進などが含まれる。
CalPERSによると、1,000億ドル(約15兆円)の新たな気候ソリューションへのコミットメントは、2030年までにポートフォリオの排出強度を50%削減するという目標に沿うものであり、2050年までに投資による炭素排出量と炭素削減量のバランスをとるという野心を支援するものである。
本ファンドが対象とする気候変動対策は、「緩和(Mitigation)」、すなわち温室効果ガスの排出量を大規模に削減することを目的とした分野への投資、「適応(Adaptation)」、すなわち気候変動の影響による被害を軽減したり、機会を活用したりすることを目的とした投資、「移行(Transition)」、すなわち重工業や運輸業など、脱炭素化が困難なセクターに焦点を当てた投資で、信頼性の高い脱炭素化計画があるものへの投資を含む、3つの大きなカテゴリーに分類される。
2030年の新たな投資目標とともに、CalPERSのネット・ゼロへの道筋を支援する戦略で示された具体的な行動には、投資先企業のネット・ゼロ計画への関与、脱炭素化を促進する政策や規制の提唱、投資機会の拡大、信頼できる移行計画のない企業への特定の投資から撤退するプロセスの開発、気候変動リスクと機会評価を投資判断に組み込むこと、ポートフォリオの排出量の測定と報告の強化などが含まれる。
気候変動関連のコミットメントに加え、新戦略には、金融業界とグローバル経済における包摂と代表性の拡大を促進する目標も盛り込まれた。行動としては、社外管理職を調査して多様性の実績を把握すること、規制要件と株主行動への取り組みを強化すること、人的資本管理に重点を置き、人的資本管理に関する企業報告の義務化を提唱すること、人的資本管理データを統合して投資の意思決定を支援すること、労働者の公正な待遇を確保する労働原則を推進することなどが盛り込まれた。
【参照ページ】
(原文)CalPERS Announces $100 Billion Net Zero Pledge and New Climate Accountability Measures
(日本語参考訳)カルパース、2030年までに約15兆円の気候変動対策投資を約束