WEF、2023年版ジェンダー・ギャップ報告書を発表 日本は125位で過去最低

6月20日、世界経済フォーラム(WEF)は、各国のジェンダー不平等状況を分析した「世界ジェンダー・ギャップ報告書 2023」を発表し、2023年版「ジェンダー・ギャップ指数(GGI)」を公表した。

2023年で17回目となるGGIは、146カ国のジェンダー平等をベンチマークとし分析を行っている。GGIは、0から100までのスコアで測定され、スコアはジェンダー・ギャップが解消された割合として解釈できる。

2023年における世界のジェンダー・ギャップ・スコアは、今回対象となった146カ国すべてで68.4%であった。2022年版と2023年版の両方でカバーされた145カ国の一定サンプルを考慮すると、全体のスコアは68.1%から68.4%に変化し、昨年版と比較して0.3ポイント改善した。

2006年から2023年まで継続的にカバーした102カ国を考慮すると、2023年の格差は68.6%に縮まり、2020年版で報告されたレベルに回復、2006年のレポート初版から4.1ポイントというわずかな前進となった。現在の進捗率では、完全な平等(パリティ)に達するまで131年かかる。世界のパリティ・スコアはパンデミック以前の水準まで回復しているが、全体的な変化率は大幅に鈍化している。

2023年版グローバル・ジェンダー・ギャップ指数によると、男女平等を達成した国はまだないが、アイスランド、ノルウェー、フィンランド、ニュージーランド、スウェーデン、ドイツ、ニカラグア、ナミビア、リトアニアの上位9カ国は少なくとも80%の格差を解消している。14年連続でアイスランド(91.2%)がトップの座についた。また、男女格差を90%以上解消した唯一の国でもある。

世界のトップ5は、ノルウェー(87.9%、2位)、フィンランド(86.3%、3位)、スウェーデン(81.5%、5位)の北欧3カ国が占め、東アジア・太平洋地域からはニュージーランド(85.6%、4位)が4位にランクインした。また、欧州からはドイツ(81.5%)が6位(前回10位)、リトアニア(80.0.%)が9位でトップ10に返り咲き、ベルギー(79.6%)が10位で初めてトップ10入りした。ラテンアメリカから1カ国(ニカラグア、81.1%)、サハラ以南のアフリカから1カ国(ナミビア、80.2%)が2023年のトップ10に入り、それぞれ7位と8位に入った。

また、2023年版インデックスの対象となった146カ国では、男女格差が「健康と生存」で96%、「教育達成」で95.2%、「経済参加と機会」で60.1%、「政治的エンパワーメント」で22.1%縮まっている。

日本は、2021年は120位、2022年116位を記録していたが、今回は125位と過去最低となった。日本おけるジェンダー・ギャップは項目によってばらつきが見られる。読み書き能力、初等教育(小学校)、中等教育(中学校・高校)、出生率の分野では、世界1位タイのランクである一方、労働所得、政治家・管理職、国会議員、閣僚では、世界ランクはいずれも100位以下を記録した。政治家・管理職数(133位)、国会議員数(131位)、閣僚数(128位)においては最低ランク。その他の項目でも50位以内に入った項目はゼロであった。経済分野では、賃金格差(75位)、労働力参加(81位)、所得(100位)といずれの項目も低い水準にある。

本報告書では、世界の労働市場における男女格差についても言及している。近年、世界的に女性の労働市場への参加率が低下しているだけでなく、経済的機会の他の指標でも、女性と男性の間に実質的な格差が生じていると明示。世界的に女性の労働力率は男性より高く、2022年版以降、労働力率における男女平等はわずかに回復しているものの、全体としての格差は依然として大きく、いくつかの具体的な次元でその格差が明らかになっている。実際に、パリティは2006年の初版以来2番目に低い水準にあり、2009年のピークである69%を大幅に下回っている。こうしたパターンをさらに悪化させているのは、女性の高い失業率にあるとした。世界全体の失業率は、女性が約4.5%、男性が約4.3%である。

また、労働力およびリーダーシップにおける女性の割合は、業界間で一貫している。2023年の労働人口に占める女性の割合は41.9%だが、上級管理職(取締役、副社長等)に占める女性の割合は32.2%で、10ポイント近く低い。過去8年間、管理職層に就く女性の割合は、世界全体で毎年約1%ずつ着実に増加してきた。しかし、この傾向は2022年から明らかに反転し、2023年の割合は2021年の水準に戻る。

【参照ページ】
(原文)Global Gender Gap Report 2023
(日本語訳)世界ジェンダー・ギャップ報告書 2023

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