3月29日、PRIは、自然に関する新しい共同スチュワードシップ・イニシアティブの開発を発表した。PRIは投資家のグループを招集し、その集団的な声と影響力を用いて、自然にとってプラスとなる結果を形成する予定である。
本イニシアティブの目的は、投資家の集団的影響力により、2030年までに生物多様性の損失を止め、回復させるという目標に貢献すること。これは、「昆明-モントリオール生物多様性グローバルフレームワーク」の目標やターゲットと一致している。
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本イニシアティブは、自然関連リスクの管理と、自然や生物多様性に関する価値創造の機会の活用に関するPRIの署名機関への幅広い支援の一環である。当初は、生物多様性損失の主要な要因である森林損失と土地の劣化に焦点を当てますが、イニシアティブがさらに発展すれば、生物多様性損失の他の要因にも拡大する可能性がある。
生物多様性の損失は、経済・金融システム全体に直接的・間接的な影響を及ぼす、システミックな問題である。少なくとも44兆ドル(約5,900兆円)の経済価値創出(すなわち世界の総GDPの半分)は、自然およびそのサービスに中程度または高度に依存しており、したがって生物多様性の損失によるリスクにさらされている。
投資家は、生物多様性損失のようなシステミックリスクに大きくさらされている。特にユニバーサル・オーナーや長期投資家は、そのような問題の影響からポートフォリオを分散させる能力に限界がある。スチュワードシップ活動は、特に他の投資家と協力して実施される場合、リスクを管理し、より持続可能な現実の結果を形成するために不可欠なツールである。
本イニシアティブは、自然にとってプラスとなる結果を生み出すために、地理的な範囲での政策変更と実施を可能にすることに焦点を当てる。投資家の努力を政策変更への影響に集中させることで、変化が個人や自発的に起こるのではなく、経済部門を横断し、適切なペースで起こる可能性が高くなる。
本イニシアティブは、企業のロビー活動やその他の政治的影響力の行使を含め、当初は後者に重点を置く予定である。投資家の影響力がしっかりとした公共政策の設計と実施に貢献できるよう、あらゆる手段を用いることが重要であることから、PRIは、「森林破壊に関する投資家政策対話(IPDD)」など、投資家と政策立案者との直接的な関わりを重視し、成功を収めている既存の投資家イニシアティブも引き続き支援している。
【参照ページ】
(原文)PRI-led Collaborative Stewardship Initiative on Nature
(日本語訳)PRI、自然に関する共同スチュワードシップ・イニシアティブを主導