4月12日、バイデン政権は、今後数十年にわたって運輸部門からの温室効果ガス排出量(GHG)を数十億トン削減し、EVへの移行を促進することを目的とした一連の厳しい自動車排出基準を発表した。
米国環境保護庁(EPA)が発表した新提案では、2027年から2032年のモデルイヤーにおける小型車と中型車の温室効果ガス排出基準を各年でより厳しくしていく。2032年には小型車のフリート全体のGHG排出量を現在の2026年基準と比較して56%削減、中型車では44%削減、さらに大型トラックの排出基準も別に設定する。全体としてEPAは、本規則が2055年までに約100億トンのCO2排出量の削減につながると推定している。
2030年に経済全体の温室効果ガス排出量を50~52%削減するという野心を達成し、パリ協定の公約に沿うことを目指すバイデン政権にとって、運輸部門の排出影響への対処は、気候変動を重視した行動の重要な焦点となっている。運輸部門は、米国のGHG排出量の27%以上を占め、最大の排出源となっており、その半分以上(57%)が小型車によるものである。
クリーンモビリティを推進するための政権による取り組みとしては、2021年に署名された大統領令で、2030年までに米国での新車販売の半分をゼロエミッション車が占めることを義務付けている。政権の超党派インフラ法(BIL)は、EVの充電器ネットワークの整備に75億ドル(約9,935億円)、EVバッテリー部品、重要鉱物、材料への投資に70億ドル(約9,273億円)以上、自動車のクリーンエネルギーによる駆動を確保するための電力インフラの整備に650億ドル(約8.6兆円)を割り当て、インフレ削減法(IRA)には新型クリーン車に対して最大7,500ドル(約99万円)の購入奨励金が含まれている。
EPAによると、新提案は、EVの販売台数が3倍に増加し、バイデン政権発足以来、公共のEV充電器の数が40%増加するなど、過去数年間のクリーン自動車製造の進歩と投資を反映しており、2022年のIRA署名以降、国内のEVおよびバッテリー投資に向けた民間企業のコミットが1200億ドル(約15兆円)を超えている。また、EUが2035年からEU域内で登録される新車とバンのCO2排出量を100%削減することを義務付けることに合意するなど、他の国々がEVへのシフトを加速させるためのルールを導入する中、今回の提案は実現した。
EPAは、排出量削減効果に加え、燃料やメンテナンスの節約、公害の減少による健康への大きなメリットなど、2055年まで、この基準案のメリットがコストを少なくとも1兆ドル(約132兆円)上回ると推定している。
環境維持団体は、政権の新提案を歓迎した。
【参照ページ】
(原文)Biden-Harris Administration Proposes New Standards to Protect Public Health that Will Save Consumers Money, and Increase Energy Security
(日本語訳)バイデン、クリーンな交通への移行を推進するため、厳しい自動車排出ガス規制を発表