BlackRock、ESG反対派の反発の中、引き続き気候変動に関する目標や情報開示を求める
12月20日、投資大手のBlackRockは、投資スチュワードシップ部門の「2023年グローバル原則」を発表し、引き続き企業に気候変動に関する戦略や排出量削減目標の開示を求める方針を示した。
BlackRockは、投資、エンゲージメント、議決権行使のプロセスにおいてESGや気候変動に関連する要素を取り入れていることに対し米国の共和党の政治家から反発を受ける中、BlackRockのスチュワードシップ活動の中核となる要素を定めた原則の更新を発表した。
米国では、フロリダ州がBlackRockの運用資産から20億ドル(約2,600億円)を引き揚げる、テキサス州が化石燃料に関わるエネルギー企業をボイコットしているとされる資産運用会社のリストを公開するという反ESGの動きがある。先週の公聴会では、同社のESGへの支持を批判したテキサス州上院州務委員会の共和党議員に対し、同社の代表者は 「狭い政治課題の押しつけ」であると主張した。
このような圧力にもかかわらず、BlackRockは、更新された原則の概要において、2023年のスチュワードシップ方針に対して「ほとんど変更を加えていない」と述べた。自然関連要因の重要性の高まりを踏まえた開示推奨事項やサステナビリティ報告のタイミングについて、投資家がデータを評価する時間を与えるため、企業が年次総会前に開示を行うことを推奨するなど、小さな修正を概説している。
注目すべきは、今回のスチュワードシップ原則の改訂において、 BlackRockが「意味を明確にする」ためにいくつかの文言の変更を行った点だ。これは、資産運用会社が直面している政治的課題に対応するものと思われる。
例えば、昨年のスチュワードシップ原則の概要では、BlackRockは、「2050年までに温室効果ガスの排出をネット・ゼロにするという世界的な願望と自社のビジネスモデルの整合性に関する計画を開示する」ことを企業に求めると述べていた。反ESGからの主な批判の一つは、同社が企業にネット・ゼロのビジネスモデルを採用するよう強要しているというものだ。今年の方針文書では、 BlackRockは、グローバルなネット・ゼロ移行に対応する企業の計画開示に重点を置いていることを明確にするため、文言を修正し、次のように述べた。
『…我々は、企業がそのビジネスモデルやセクターと整合性を保ちつつ、グローバルな純炭素排出ゼロへの移行を通じて長期的な財務パフォーマンスを実現する方法についての事業計画を開示に含めることを奨励する。…』
さらに、昨年のサマリーでは、エネルギー移行に対する企業のアプローチを理解するための議論として、 BlackRockは、「移行期間中に化石燃料の確実で安価な供給を維持するためには、ある程度の継続的投資が必要」と認識しており、企業に「代替技術、移行技術、化石燃料生産における資本配分が自社の戦略および排出削減目標といかに整合しているかを開示せよ」としている。これに対し、新原則では、「化石燃料」の文言が削除され、「一部の継続投資」が「継続投資」に変更され、「様々なエネルギー源への資本配分が、自社の戦略とどのように整合しているかを開示する」よう企業に促している。
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(原文)BlackRock Investment Stewardship