5月、国連環境計画(UNEP)は、 海洋石油・ガスの探査・生産に伴う財務リスクと環境影響を分析したレポートを発行した。 世界経済の脱炭素化という環境上の要請に加えて、活動に伴う金融、風評、規制、オペレーション、物理的リスクの領域を考慮し、金融機関がこの分野にどのように関わり、対応すべきかを論じている。
本書は、海洋石油・ガス事業に関連するリスクを理解し、化石燃料からの脱却を目指す銀行、保険会社、投資家向けに作成された、科学的根拠に基づく実践的な資料である。また、本資料は、UNEPが連続発行している、海洋経済(ブルーエコノミー)に関する一連の分析レポートの一部である。
2050年までにネット・ゼロに到達するためには、世界の温室効果ガスの排出を迅速かつ持続的に削減し、化石燃料からの抜本的な転換を図る必要がある。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、COP26で合意されたように、地球温暖化を1.5℃に抑えるためには、石油・ガスの新規生産事業は許可せず、既存の生産事業は持続可能な再生可能エネルギーに置き換えなければならないとしている。