3月24日、気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク(Network for Greening the Financial System, NGFS) は「自然関連金融リスクに関する声明」を発表した。本声明では、生物多様性の損失を含む自然関連リスクはマクロ経済に重大な影響を与える可能性があり、金融安定に関わるリスクの源であるとの認識を公表した。また、自然資本の金融リスクを整理した報告書「中央銀行業務と金融安定性」も発表した。
NGFSは、中央銀行および監督機関が金融安定というミッションを果たすために、自然関連の金融リスクを考慮すべきとしている。本声明はまた、今後数年間、NGFSの様々な作業の流れの中で自然関連リスクの検討を主流にするため、NGFSタスクフォースの創設を発表している。
本報告書は、中央銀行および金融監督機関が生物多様性の喪失に直面した際に、その責務を果たすために必要な5つの提言を行なっている。
- 生物多様性の損失を経済・金融リスクの潜在的な源泉として認識し、金融・物価の安定を維持するための対応策を策定
- 生物多様性関連金融リスクを分析・対処するための中央銀行及び監督官庁の職員並びに市場参加者のスキル及び能力の構築
- 金融システムがどの程度生物多様性の損失にさらされているかの評価
- 生物多様性に関連する金融リスクと機会に関する金融機関のガバナンス、リスク管理、戦略、開示、金融行動に対する監督上の期待事項の選択肢を準備
- 中央銀行の金融政策運営や非金融政策ポートフォリオ管理が、生物多様性の損失の中でどのように行われるべきかを検討するなど、生物多様性に配慮した経済への投資動員に必要な金融アーキテクチャの構築支援