GX-ETS、排出枠の価格安定化措置を審議 上下限価格「3カ月連続」で発動へ

経産省、「成長志向型の資源自律経済戦略」を策定

9月25日、経済産業省は第9回「排出量取引制度小委員会」を開催し、2026年度から本格稼働する排出量取引制度(GX-ETS)について、排出枠の取引価格が上下限価格を超えた場合の価格安定化措置を審議した。GX-ETSでは、排出枠価格の予見可能性を高め、企業の脱炭素投資を促すため、取引価格に上下限価格を設定する。2026年度は、上限価格を4,300円/t-CO2、下限価格を1,700円/t-CO2とすることがすでに示されている。

今回の会合では、価格がこの水準を上回った、または下回った場合に、どのような条件で価格安定化措置を発動するかなど、具体的な制度設計が議論された。

上限価格超過、月平均価格「3カ月連続」を発動要件に

上限価格を超えた場合には、一定の要件を満たした事業者が国に負担金を納付することで、納付額を上限価格で除した量の排出枠を保有しているとみなす「みなし保有措置」を設けることが規定されている。今回の主な事務局案では、一定以上の取引が行われていることを前提として、月平均取引価格が上限価格を3カ月連続で上回った場合に措置を発動する価格要件が示された。

また、排出枠の保有義務期限が近づく12月以降については、上限価格以下の売り注文がない、または上限価格以下の売り注文をすべて約定しても買い注文が残る状態が1カ月以上続いた場合など、排出枠の数量不足を踏まえた発動要件も提示された。

措置が発動された場合、対象事業者は申請と負担金の納付を行い、その納付額に応じた排出枠を保有しているものとみなされ、保有義務を履行できる。

下限価格割れではGX推進機構が排出枠を買入れ

一方、市場価格が下限価格を下回った場合には、GX推進機構がリバースオークションを通じて排出枠を買い入れ、市場から排出枠を吸収することで価格の下落を抑えることが規定されている。主な事務局案では、上限価格と同様、一定以上の取引が行われていることを前提に、月平均取引価格が下限価格を3カ月連続で下回った場合をリバースオークションの発動要件とした。

リバースオークションでは、売却を希望する事業者から価格の提示を受け、低い価格を提示した事業者から排出枠を買い入れる。オークション方式については、落札者に同一の価格を適用する「シングルプライス方式」とする案が示された。

買入価格には上限を設け、「下限価格未満かつ市場価格以上」の範囲で設定する。具体的な買入上限価格については、市場参加者による戦略的な取引を防ぐ観点から公表しない。買入量についても、予算や市場の状況などを踏まえた算式によって設定し、その算式は非公表とする方向が示された。

GX推進機構が買い入れた排出枠については、その後、市場価格が上限価格に近づいた場合などに、複数回に分けて市場へ売り渡すことを想定する。

発動期間やバンキングとの整合性に指摘

委員からは、上下限価格に関する措置の基本的な方向性や、一定期間の平均価格をもとに発動を判断する考え方について、概ね賛同する意見が示された。

一方、価格要件を「3カ月連続」とすることについて、一時的な外部要因によって措置が発動する可能性や、保有義務期限の直前に排出枠が不足した場合に機動的に対応できるかといった指摘もあった。

また、GX推進機構が買い入れた排出枠を市場へ売り戻す際の影響や、今後検討される排出枠のバンキングルールなど、他の制度設計との整合性を確認する必要性も指摘された。

なお、事務局は、制度開始後に市場動向や措置の発動状況・効果をモニタリングし、必要に応じて発動要件などを見直す方針を示している。リバースオークションを実施しても価格が十分に回復しない場合には、排出枠の割当基準を厳格化することも検討する。

今後は、排出枠のバンキングの適正化や市場モニタリングなどについても検討を進め、2026年末をめどに議論を取りまとめる。排出量取引市場は2027年度秋頃の開設を予定している。

参考:第9回 産業構造審議会 イノベーション・環境分科会 排出量取引制度小委員会


GX-ETSの実務とは?

2027年度はGX-ETSの実務対応がさらに本格化します。解説記事では、GX-ETSの基本的な仕組みを改めて整理するとともに、2026年度の特例措置と2027年度以降のスケジュール、排出量算定や第三者確認などをまとめています。

<実務ポイント>
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2026年度と2027年度では何が変わる?

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