ティッセンクルップとステグラ、非プライム鋼材で長期供給契約 グリーン水素製鉄の立ち上げと脱炭素市場形成を後押し

1月12日、独ティッセンクルップ傘下のthyssenkrupp Materials Servicesは、スウェーデンで次世代製鉄事業を進めるStegraと、複数年にわたる鋼材供給契約を締結した。スウェーデン北部ボーデンに建設中のステグラの製鉄拠点から、一定量の「非プライム鋼材」を調達する。初回出荷は2027年を予定し、契約総量は数十万トン規模に及ぶ。

今回の契約に基づき、ティッセンクルップ・マテリアルズ・プロセッシング・ヨーロッパは、自動車部品、建設、OEM(相手先ブランド製造)など欧州各産業向けに非プライム鋼材を供給する。同社は幅広い顧客基盤と物流・加工ネットワークを活用し、大量の鋼材を市場に流通させる役割を担う。

ステグラは、再生可能電力由来のグリーン水素を用いた製鉄を特徴とし、欧州の鉄鋼産業脱炭素化の中核プロジェクトとして注目されている。一方、製鉄工程では一定量の品質規格外となる非プライム鋼材が発生する。強度や耐久性は確保されているものの、用途が限定されるため、安定した引き取り先の確保が量産化の鍵となる。

両社は今回の提携を通じ、ボーデン工場の立ち上げを支援するとともに、グリーン水素製鉄の商業化を後押しする。ティッセンクルップ側は「大規模設備の立ち上げと鉄鋼産業の脱炭素化を支える」と位置づけ、長期的な協業関係の構築を強調した。

ESGの観点で注目されるのは、環境価値の取り扱いだ。ステグラは、同工場で生産されるプライム鋼材について、CO₂削減価値を「環境属性証書(EAC)」として別途販売する戦略を採用している。このため、今回ティッセンクルップが調達する非プライム鋼材自体は「CO₂削減鋼材」とは見なされず、購入者は環境配慮を示す主張を行わないことが義務付けられる。排出削減効果の二重計上を防ぐ狙いだ。

非プライム鋼材の長期契約は、環境属性証書市場の形成にとっても重要とされる。物理的な鋼材取引と環境価値を切り分けることで、グリーン製鉄の経済性を高める仕組みが整いつつある。

鉄鋼業界では、脱炭素化に伴うコスト増と市場受容の両立が課題となっている。今回の合意は、低炭素製鉄の量産化と新たな環境価値市場の確立に向けた一つのモデルケースとして、欧州産業界から注目を集めそうだ。

(原文)thyssenkrupp Materials Services and Stegra agree on significant multi-year non-prime steel supply
(日本語参考訳)ティッセンクルップ・マテリアルズ・サービスとステグラ、複数年にわたる非プライム鋼の大量供給で合意

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