
9月29日、オックスフォード大発の気候テック企業で廃棄炭素を一段階で持続可能な航空燃料(SAF)へ変換する技術を開発するOXCCUは、シリーズBラウンドで約2,800万ドルを調達したことを発表した。今回の投資には、国際航空グループ(IAG)傘下のベンチャー部門IAGiVenturesやSafran Corporate Ventures、Orlen VCなどが新規参加し、既存投資家のClean Energy Venturesやアラムコ・ベンチャーズ、エニ子会社Eni Nextなども再投資を行った。
新規資金は、同社の技術スケールアップや商業化の推進、ロンドン・オックスフォード空港に設置した実証プラント「OX1」に続く「OX2」の建設に充てられる。OX2は2026年に稼働予定であり、欧州や英国のSAF導入義務(UK SAF mandateやReFuelEU)に応えると同時に、依然として高止まりする生産コストの課題に取り組む。
OXCCUの独自技術は、従来必要とされた逆水性ガスシフトやe-メタノール工程を省略し、鉄系触媒を用いて二酸化炭素や一酸化炭素、水素から直接ジェット燃料相当の炭化水素を合成するものだ。このシンプルな反応プロセスにより、資本・運用コストの削減と燃料の低炭素化を両立できるとされる。航空業界関係者からは「2030年までに燃料需要の10%をSAFで賄う目標に貢献する技術」(IAG)、「欧州市場での競争力強化に資する」(Orlen)などの評価が寄せられた。
今回の調達は、資金調達が厳しい状況下でも差別化された技術を持つ企業には資金が集まることを示している。OXCCUは航空燃料だけでなく、化学品やプラスチック分野への応用も視野に入れており、「気候危機への対応にはSAFコスト低減が決定打」と強調する。世界の航空脱炭素を加速する“英発イノベーション”として、同社の今後の成長が注目される。
(原文)OXCCU Raises $28m in Series B Funding to Scale Sustainable Aviation Fuel from Waste Carbon
(日本語参考訳)OXCCU、シリーズB資金調達で2800万ドルを調達し、廃棄物炭素から持続可能な航空燃料の生産拡大