
9月19日、Schneider Electricは、炭素除去事業者のClimeworksと提携し、2039年までに合計31,000トンの二酸化炭素(CO2)を大気中から除去する大型契約を発表した。これは同社にとって初の「高耐久性炭素除去」の購入であり、Climeworksにとっても過去最大規模の契約となる。Schneider ElectricはすでにScope 1および2排出量を2030年までに90%削減する目標を掲げており、本契約は残余排出の中和と、脱炭素経済への道筋を補完するものだ。
この取り組みでは、①直接空気回収・貯留(DACCS)、②バイオエネルギー+CCS、③強化岩石風化(Enhanced Rock Weathering)という3種類の高耐久技術を活用し、それぞれが数千年単位でCO2を安全に封じ込める。Climeworksはプロジェクト開発者として、技術選定・調達・検証体制の構築にも責任を担う。エネルギー効率の向上やDACコストの低減を目指した技術面の協業が今後の焦点となる。
Schneider ElectricのEsther Finidori持続可能性責任者は「高耐久性炭素除去への取り組みは、私たちの排出削減努力を補完する重要な一歩」と述べ、自然ベースの除去策と技術ベースの両立が今後の気候戦略に不可欠であると強調した。また、SBTi(科学的根拠に基づく目標イニシアティブ)のネットゼロ基準に沿った取り組みとしても、今回の契約は他企業の指標となる可能性が高い。
炭素除去産業が実効性を持つためには、長期的な需要の裏付けが不可欠である。Schneider Electricのような企業によるマルチ年契約は、インフラ投資家・開発業者・供給網に対し、継続的な需要と市場形成を示す役割を担う。今後のスケールアップには、特にDACとBECCSにおける設備投資資金の確保や、強化風化の測定・報告・検証手法の高度化が鍵となる。
(原文)Schneider Electric and Climeworks Sign 31,000-Ton High-Durability Carbon Removal Agreement
(日本語参考訳)シュナイダーエレクトリックとクライムワークス、31,000トンの高耐久性炭素除去契約を締結