
9月22日、イタリアのエネルギー大手Eniは、米スタートアップのCommonwealth Fusion Systems(CFS)との10億ドルを超える電力購入契約(PPA)の締結を発表した。CFSがヴァージニア州チェスターフィールド郡で建設中のARC型融合発電所から、Eniが得る電力量に関する契約であり、2030年代初頭の商用稼働を見込んでいる。核融合エネルギーを用いた電力供給契約としては世界的にも先駆的な事例であり、同技術の商業化への大きな一歩となる。
Eniは2018年にCFSへの出資を開始して以来、同社の戦略的株主であり続けてきた。今回の契約により両社の関係は、これまでの技術協力を超えて商業面にも拡大される。CFSのBob Mumgaard CEOは「従来型エネルギー大手であるEniが、私たちの電力を購入するという事実が、融合エネルギーの市場価値を示している」と述べた。
EniのClaudio Descalzi CEOは、「エネルギー需要が世界的に拡大する中、融合技術こそが安全でほぼ無尽蔵な新エネルギーのパラダイムだ」とし、同社が融合の産業化に強い意欲を持っていることを強調した。2023年にはCFSと包括的枠組み協定(Collaboration Framework Agreement)も締結しており、今回の契約はその成果のひとつである。
CFSは高温超電導磁石(HTS)を活用した核融合炉「SPARC」の開発で注目を集めており、すでに複数のオフテイク契約を獲得している。
(原文)Eni and Commonwealth Fusion Systems sign $1 billion+ power purchase agreement, expanding strategic partnership to commercialize fusion energy
(日本語参考訳)エニとコモンウェルス・フュージョン・システムズが10億ドル以上の電力購入契約を締結、核融合エネルギーの商業化に向けた戦略的パートナーシップを拡大