
9月12日、トランプ大統領の初日大統領令に基づき、米国環境保護庁(EPA)のLee Zeldin長官は、温室効果ガス報告プログラム(GHGRP)を廃止する提案を発表した。これにより米国企業の規制コストが最大24億ドル削減される見込みであると同時に、米国大気浄化法(Clean Air Act, CAA)に基づく法的義務は維持されるとしている。GHGRPは47の排出源カテゴリー、全米約8,000の施設や供給事業者を対象にGHG排出量の算定・報告を義務付けてきたが、CAA第114条(a)に基づく収集要件がなく、健康や環境改善に直接的な効果が乏しいとの判断が示された。
今回の提案により、大規模施設、燃料・産業用ガス供給者、CO2注入サイトなど大半の事業者が報告義務から除外され、廃棄物排出課徴金(WEC, Waste Emissions Charge)対象分を除きGHG報告は不要となる。CAA第136条は、石油・天然ガスシステムに関するWEC対象データの収集のみを規定しており、トランプ大統領が2025年7月に署名した「One Big Beautiful Bill Act」により、WECは2034年以降の排出分に適用されることとなった。このためEPAは2034年までsubpart Wデータを収集しない方針である。
EPAはこの提案に関するパブリックコメントを募集する予定であり、連邦官報およびEPA公式サイトで詳細を公表する。GHGRPは2008年度歳出法で創設され、オバマ政権下で2010年に運用が開始されたが、今回の措置は「Power the Great American Comeback」を掲げるトランプ政権の規制簡素化の一環であり、環境保護の中核使命を維持しつつ米国エネルギーの活性化を目指すものとされている。
(原文)EPA Releases Proposal to End the Burdensome, Costly Greenhouse Gas Reporting Program, Saving up to $2.4 Billion
(日本語参考訳)EPA、負担が大きく費用のかかる温室効果ガス報告プログラムを廃止し、最大24億ドルを節約する提案を発表