欧州投資銀行グループ、中小企業35万社超に省エネ支援 総額175億ユーロを投入

9月11日、欧州投資銀行(EIB)グループは、欧州全域の中小企業(SME)に向けて省エネ支援を拡大する新たな資金供給計画を発表した。総額は175億ユーロに達し、今後3年間で35万社以上が恩恵を受ける見込みだ。

この取り組みは、2025~2027年の期間におけるEIBグループの現行支援額をほぼ倍増させ、総額650億ユーロ超の投資を呼び込むことを目指す。対象は省エネ技術の導入や脱炭素化に向けた具体的な施策で、債務・株式双方の金融商品を組み合わせて提供される。

欧州委員会の支援を受け、企業が簡便に融資へアクセスできる「ワンストップショップ」が導入される予定である。また、民間パートナーと連携した投資プラットフォームを設置し、専用案件への資本流入を後押しする。

さらにEIBグループは、非営利団体ソーラー・インパルス財団と提携し「サービスとしてのエネルギー効率」モデルを推進する。これは企業が設備を所有せず、利用した光や熱に対して料金を支払う仕組みであり、初期投資負担をなくし導入を加速させる狙いがある。

欧州委員会は本計画を支えるため、InvestEUやLIFEプログラムを通じて保証や助言サービスを提供する。EIBは同日、省エネ投資の阻害要因や促進要因を分析した報告書も発表した。

今回の取り組みは、中小企業の競争力を高め、EUの産業脱炭素化を推進する「クリーン産業ディール」の中核施策と位置づけられている。

(原文)More than 350,000 European companies to get energy efficiency support under major EU financing initiative
(日本語参考訳)35万社以上の欧州企業がEUの主要資金調達イニシアチブの下、エネルギー効率化支援を受ける予定

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