バーゼル委員会、銀行の気候リスク開示・自主的枠組みを公表

6月13日、世界の主要な銀行規制当局で構成されるバーゼル銀行監督委員会は、銀行が抱える気候関連の金融リスクについて、情報開示のための自主的な枠組みを公表した。各国・地域の監督当局に導入を促し、気候変動が金融システムに与える影響の透明性を高めることで、金融の安定化につなげる狙いがある。

公表された枠組みは、銀行が気候変動によって受ける財務上のリスクについて、定性的・定量的な情報を用いて開示する際の具体的な指針を示すものである。

ただし、この枠組みの導入は法的な義務ではなく、各国の規制当局が国内の状況に応じて採用するかどうかを判断する「自主的」な位置づけとなる。

バーゼル委員会は、気候関連のデータはまだ発展途上であり、その正確性や一貫性に課題があることを認めている。そのため、今回の枠組みには一定の柔軟性を持たせたという。投資家などの利用者は、開示された複数の情報を総合的に評価し、各銀行のリスク状況を判断する必要があるとしている。

同委員会は今後、国際的に活動する大手銀行の開示実務や、他の報告基準の動向を注視し、必要に応じて枠組みを見直す方針だ。

(原文)Basel Committee publishes framework for voluntary disclosure of climate-related financial risks
(日本語参考訳)バーゼル委員会、気候関連金融リスクの自主開示の枠組みを発表

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成しています。今後の動向により内容は随時更新され…

ピックアップ記事

  1. 2025-10-20

    SEC議長、ESG株主提案の政治化に警鐘―「企業統治の本質に立ち返るべき時」

    10月9日、米証券取引委員会(SEC)のポール・S・アトキンス議長は、デラウェア大学のジョン・L・…
  2. 【特別対談】人的資本が企業価値を作るーANAが実践するサステナビリティ経営戦略に学ぶ(前編)

    2025-10-15

    【特別対談】人的資本が企業価値を作るーANAが実践するサステナビリティ経営戦略に学ぶ(前編)

    本記事は、ESG Journalを運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社(以下シェルパ)のC…
  3. 【特別対談】サステナビリティ情報開示の進展が企業価値向上を実現。AI/テクノロジー活用への期待(後編)

    2025-10-15

    【特別対談】サステナビリティ情報開示の進展が企業価値向上を実現。AI/テクノロジー活用への期待(後編)

    本記事は、ESG Journalを運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社(以下シェルパ)のC…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る