
6月12日、EUの持続可能性に関するオムニバス法案について、欧州議会で本件の交渉責任者を務めるJörgen Warborn議員は、EU規制の簡素化を目的とした提案草案を公開した。これは、欧州の競争力強化と企業負担の軽減を狙いとした、EUの現行議会任期で最初の大規模簡素化策である。
Warborn氏は、「欧州は国際競争において米国や中国に後れを取っている。企業のコストを削減し、欧州委員会の提案よりもさらに簡素化を進めることが目標だ」と述べ、中小企業(SMEs)にとっての規制負担軽減を重視する姿勢を示した。
提案には、CSRD(企業サステナビリティ報告基準)、CSDDD(企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令)、およびタクソノミーにおける適用基準を、売上高4億5000万ユーロ・従業員数3000人に引き上げることが含まれている。これにより、多くの中小企業は規制の対象外となり、実務上の負担が大幅に軽減される見込みである。また、企業に義務付けられていた気候移行計画の策定要件も撤廃される方針が盛り込まれている。
Warborn氏は「持続可能性の価値を捨てるわけではない。それを機能させる方法を見直すだけだ。規制を弱めるのではなく、より良くするのが目的だ」と強調した。
このオムニバス法案は、企業が煩雑な手続きを減らすことで、革新、投資、成長へのリソースを確保できるとされる。大企業の要件が軽減されることで、中小企業にも余裕が生まれる構図だ。Warborn氏は「欧州が勝つのは、より多く規制することではなく、より良く規制することだ」と締めくくった。
(原文)Simplify Europe’s sustainability agenda without weakening it
(日本語参考訳)欧州の持続可能性アジェンダを弱める近隣簡素化する