グリーンプロジェクトテクノロジー、スコープ3削減へ新基盤 サプライヤーの再エネ調達支援

6月5日、環境関連ソリューション大手のACTグループ傘下、グリーン・プロジェクト・テクノロジーズは5日、企業のサプライチェーン(供給網)全体の脱炭素化を支援する新デジタルプラットフォーム「act50」の提供を開始したと発表した。取引先であるサプライヤーが再生可能エネルギーを容易に購入できる仕組みを構築し、企業が対応に苦慮する「スコープ3」排出量の削減を後押しする。

企業の気候変動対策において、スコープ3(自社の直接的な排出以外の、取引先からの調達や製品の使用などバリューチェーン全体で生じる間接的な排出)の管理は長年の課題となっている。特に「購入した製品・サービス」に由来する排出量は大部分を占めるが、サプライヤーの排出状況を正確に把握したり、削減を働きかけたりすることが難しいためだ。

新サービス「act50」は、企業が自社のサプライヤー向けに再生可能エネルギー証書(EAC)を購入できるデジタル市場を提供する。これまで再エネ調達の手段が限られていた中小規模のサプライヤーでも、監査可能な形でクリーンエネルギーを導入できるようになる。これにより、親企業はサプライチェーン全体の排出量を体系的に削減できる。

グリーン・プロジェクト社のサム・スターク最高経営責任者(CEO)は「企業の気候変動対策で最も困難な部分、つまりビジネスエコシステム全体の動員を簡素化するものだ」とサービスの利点を強調する。

プラットフォームは親会社であるACTグループの市場インフラと、同社傘下のサーキュラー社の登録基盤を活用し、取引の信頼性と追跡可能性を担保する。企業のサステナビリティ報告で利用されるCDPやエコバディスといった既存の仕組みとも連携が可能。

新サービスは、複雑な供給網を持つテクノロジー、製薬、製造、小売業など、世界中のグローバル企業を対象としている。サプライチェーン全体での脱炭素化が企業の評価を左右する中、実効性のある解決策として普及を目指す。

(原文)Introducing act50: A Scalable Supply Chain Decarbonization Solution
(日本語参考訳)act50のご紹介:スケーラブルなサプライチェーン脱炭素化ソリューション

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