
6月1日、国際航空運送協会(IATA)は、持続可能な航空燃料(SAF)の生産量が2025年に200万トンに達する見込みであるものの、これは航空会社全体の燃料消費量のわずか0.7%に過ぎず、そのコストも44億ドルに上ると発表した。ウィリー・ウォルシュ事務総長は、生産拡大とコスト削減のペース加速が急務であると訴えている。
IATAは特に、2025年1月から義務化が始まった欧州連合(EU)と英国の政策を問題視。遵守費用の上乗せにより、欧州でのSAF調達コストは2倍に跳ね上がり、従来のジェット燃料の5倍にも達していると指摘。「欧州のSAF義務化は、利用促進どころかコストを不当に押し上げている。脱炭素化のコストを上げることは政策の目的であってはならない」とウォルシュ氏は述べ、欧州のアプローチが機能不全に陥っていると厳しく批判した。
この状況に対し、IATAは各国政府に、より効果的な政策の策定、SAFを含む包括的なエネルギー政策の推進、そして国際航空のCO2排出に対処する市場ベースの仕組みであるCORSIA(コルシア、国際航空のためのカーボン・オフセットおよび削減スキーム)の成功確保を強く要請。化石燃料への補助金の一部転用なども提言している。
IATAは、SAF購入・使用状況を追跡する「SAF登録簿」や、航空会社と供給者を結びつける「SAFマッチメーカー」といった独自の取り組みも進めており、SAFの普及は航空業界の脱炭素化に不可欠であるものの、その実現には政策立案者の賢明な舵取りが不可欠であると強調している。
(原文)Policy Shortcomings Puts SAF Production at Risk
(日本語参考訳)政策の不備がSAFの生産を危機にさらす