住宅用分散型エネルギーで電力網を安定化、ベースが2億ドル調達

4月、アメリカのテキサス州に拠点を置く、分散型クリーンエネルギー貯蔵システムを提供するベース(Base Power) は、電力網の改革とすべての人々への手頃で信頼できる電力の提供を目指し、2億ドルのシリーズB資金調達を発表した。

ベースは、次世代の電力会社を構築するというビジョンを掲げている。それは、エンジニアリング主導、テクノロジー重視、研究開発駆動型の、初の電力会社だ。同社は、住宅所有者にサービスを提供しながら電力網を安定させる分散型エネルギーネットワークの構築を目指している。昨年設立以来、現在約100名のエンジニアとオペレーターからなるチームがこの課題に取り組んでいる。

製品を北オースティンの3つの町で発売してから1年も経たないうちに、テキサス州の約70の自治体に事業を拡大し、1,500人以上の顧客基盤を構築した。パートナーシップもまた、強力な成長ベクトルとなっている。大手住宅建設会社のレナーとの提携により、数百戸の住宅にシステムを統合し、新築住宅への設置を効率化する方法を学んだ。最初の公益事業パートナーであるバンデラ・エレクトリックとの提携は、ベースのハードウェア、ソフトウェア、導入オペレーションが垂直統合型公益事業にとっていかに貴重であるかを示した。ベースは、これらの公益事業が電力需要の増加する時代に成長できるよう、ツールを構築し続けることに意欲を示している。

今回の2億ドルの資金調達は、以下の計画に活用される。

  • 研究開発の推進:分散型ストレージプラットフォームを強化する新製品(よりスマートなハードウェア、より深いグリッド統合、影響力を拡大する新しいソリューションなど)に重点的に投資する。
  • 生産の拡大:テキサス州に最初のベース工場を建設する。これにより、需要の増加に対応しながら、拡張に伴う回復力とコスト効率を確保することで、自社の運命をコントロールできるようになる。
  • 公益事業とのパートナーシップの拡大:バンデラ・エレクトリックとの提携をモデルケースとして、テキサス州の他の公益事業者との協議を進め、州外への進出も検討している。ターンキー型の分散型ストレージソリューションを提供することで、地方自治体の公益事業、協同組合、投資家所有の公益事業のコスト削減、信頼性向上、再生可能エネルギーの統合を支援しながら、事業範囲を拡大していく。
  • チームの構築:エネルギー分野における最も困難な課題に取り組みたいエンジニアやオペレーターを積極的に採用している。

(原文)Building America’s Next-Generation Power Company 
(日本語参考訳)アメリカの次世代電力会社を作る

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. 2025-9-16

    セブン&アイHD、TCFD・TNFD統合開示を公表 財務インパクトの試算と自然資本分析も深化

    9月8日、セブン&アイ・ホールディングスは、「気候・自然関連情報報告書―TCFD・TNFD統合開示…
  2. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る