TotalEnergies、欧州・アフリカ・カナダでの再エネ買収を完了―統合型電力事業を強化

4月2日、TotalEnergiesは2024年に締結した契約に基づき、ドイツを中心とした欧州の再エネ開発企業VSBグループおよびアフリカで水力発電を展開するSN Powerの買収を完了したと発表した。また、カナダ・アルバータ州において再エネ開発企業RESとの新たな合意を交わし、現地でのソーラー施設の取得も完了した。

欧州では、VSBの15GW超に及ぶ建設中および計画中の再エネプロジェクトを保有したことで、TotalEnergiesの欧州内の再エネ計画容量は40GW超に拡大。既存の7GWの稼働・建設中の案件に加え、ドイツでは蓄電池開発企業Kyon Energyやエネルギー管理企業Quadra Energyの買収、洋上風力案件への投資と併せて、統合型電力ビジネスの基盤を一層強化している。

アフリカでは、ウガンダを中心に展開するSN Powerの取得により、水力発電分野への足掛かりを確保。ウガンダのピーク需要の4分の1以上を担うBujagali水力発電所(225MW)への28.3%出資を含め、ルワンダ(206MW)およびマラウイ(360MW)における開発中プロジェクトへの参画が可能となった。既存の石油・ガス事業と連携し、多エネルギー戦略を推進する構えだ。

カナダでは、RESから800MW超の風力・太陽光案件の取得合意を結ぶとともに、184MWの太陽光発電所「Big Sky Solar」の取得を完了。発電電力の大部分は長期PPAで販売され、残りは市場で取引される。加えて、同施設のカーボンクレジットはアルバータ州の排出規制下で販売される予定だ。

同社のガス・再エネ・電力部門プレジデントであるステファン・ミシェル氏は、「今回の3件の買収は、2025年までに総再エネ容量35GW、2030年までに電力生産量100TWh超という目標の達成に貢献する。特にドイツや北米では統合型電力事業を展開中であり、ウガンダでは既存の石油・ガス事業との相乗効果を活かす。また、これらの案件はキャッシュフローの成長にも寄与し、電力セグメントにおける12%の収益性目標の達成に貢献する」と述べている。

(原文)Integrated Power: TotalEnergies Closes Three International Acquisitions of Renewable Portfolios

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