Pulpex、シリーズD資金調達で6200万ポンドを獲得 持続可能なパッケージ技術の産業化へ

2月、持続可能なパッケージ技術を提供するPulpex Limitedは、シリーズDの資金調達ラウンドで6200万ポンドの投資を受けたことを発表した。このラウンドは、ナショナル・ウェルス・ファンド(NWF)とスコティッシュ・ナショナル・インベストメント・バンク(SNIB)が主導し、NWFが4350万ポンドを直接出資、SNIBが1000万ポンドを共同投資する形で進められた。残りの資金は既存の投資家からの支援を受けている。

この資金調達は、Pulpexがスコットランドのグラスゴー近郊に初の商業規模の製造施設を建設するために使用される予定であり、NWFにとってはスコットランドへの初めての投資となる。Pulpexは、隠れたプラスチックを一切使用しない、繊維ベースのボトルソリューションを開発した。このボトルは、持続可能に調達された木材パルプから作られ、通常の家庭のリサイクルストリームで紙やカードと同様にリサイクルできるよう設計されている。

Pulpexの技術は、現在のガラスやプラスチックのパッケージと比較して、リサイクル可能で生分解性があり、低炭素の環境影響を持つ最終製品を生み出す。NWFとSNIBからの投資は、この革新的な技術の産業化と、パッケージング製造業者やその顧客による今後の導入を促進するために重要であり、スコットランドおよび広範な代替パッケージ市場における成長のための基盤を築くことになる。

Pulpexは現在、ケンブリッジにあるR&Dおよびパイロット生産施設から運営しており、ディアジオやユニリーバ、クラフト・ハインツなどの大手FMCGブランドと提携して製品開発を進めている。グラスゴー近郊に建設予定の製造施設は、年間5000万本のボトルを生産し、イギリス初の繊維ボトル供給チェーンを形成する予定だ。この施設の建設により、35の新しい雇用がスコットランドで創出されることになる。

プラスチックやガラスから紙パッケージに移行することは、パッケージ業界の脱炭素化を加速させ、消費財のリサイクル率を向上させる効果がある。この新しい素材は、他のパッケージング代替素材と比べて最も高いリサイクル率を誇り、最も高度なインフラを有している。

イギリスでは毎日3850万本以上のプラスチックボトルが使用され、そのうち1600万本が埋め立てられたり焼却されたり、環境や水路を汚染していると報告されている。Pulpexのような経済的に実行可能でスケーラブルな代替案への投資は、消費財業界の持続可能な未来に向けた重要な一歩となる。

【参照ページ】
(原文)Pulpex announces £62m Series D funding
(日本語参考訳)パルペックス、6,200万ポンドのシリーズD資金調達を発表

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-7-2

    シェルパ、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)理事・小森氏をゲストにウェビナー「ISSBが示すサステナビリティ情報開示の考え方」を実施

    - ISSB基準に関する最新動向から企業価値向上に向けた戦略的情報開示についてまで、講演と対談を通…
  2. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  3. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…

ピックアップ記事

  1. ISSB×SASBスタンダード改訂:実務対応の整理とステップガイド

    2025-7-11

    ISSB×SASBスタンダード改訂:実務対応の整理とステップガイド

    2025年7月に公表されたSASBスタンダードの改訂案は、IFRS S2の産業別ガイダンスと連動す…
  2. TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    2025-7-10

    TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    ※本記事は2024年10月の内容にGX-ETSに関する内容を追記し再掲載している。(2025年7月…
  3. 2025-7-10

    EUタクソノミーの簡素化で企業の負担軽減へ―欧州委、報告義務緩和を採択

    7月4日、欧州委員会は、EU共通の分類基準であるEUタクソノミーに関する一連の簡素化措置を採択した…

““登録02へのリンク"

ページ上部へ戻る