
2月11日、米国の議決権行使助言会社であるInstitutional Shareholder Services(ISS)は、米国企業の取締役選任に関する議決権行使助言を行う際、取締役会のダイバーシティ要素を考慮する方針を無期限で停止すると発表した。これにより、2024年2月25日以降に発行される株主総会関連レポートでは、取締役の選任・再任に関する推奨を行う際、ジェンダーや人種・民族の多様性は評価基準から除外されることとなる。
ISSは毎年、BenchmarkポリシーおよびSpecialtyポリシーの見直しを行い、必要に応じて法規制の変更や市場動向を反映した例外的な更新を実施している。近年、米国ではダイバーシティ、公平性、インクルージョン(DEI)に関する議論が活発化しており、1月にはDEIに関する大統領令が発令された。これに伴い、機関投資家や企業の間でDEIの重要性やその具体的な取り組みに関する見解が分かれている。
ISSはこうした状況を踏まえ、取締役選任に関する助言基準の変更を決定した。ただし、取締役の評価は今後もBenchmarkおよびSpecialtyポリシーに基づき、独立性、説明責任、株主への対応といった要素を中心に行われる。ISSは、引き続き市場環境や法規制の動向を注視し、必要に応じてポリシーの見直しを行う方針である。
【参照ページ】
(原文)Statement Regarding Consideration of Diversity Factors in U.S. Director Election Assessments
(日本語参考訳)米国取締役選任評価における多様性要因の考慮に関する声明