全米自動車労働組合、フォード、GM、ステランティスで新労働契約を批准

11月20日、全米自動車労働組合(UAW)は、ストライキの後、フォード、ゼネラル・モーターズ(GM)、ステランティスの3社は新協約を批准したと発表した。3社全体で、投票権を持つ組合員の64%が協約に賛成票を投じた。

ビッグスリーのUAW自動車労組15万人は、生活費調整(COLA)から退職者の年次ボーナス、 賃金階層の撤廃まで、大不況時に犠牲になった主要条項を取り戻した。

契約条項には以下が含まれる。

  • 少なくとも 33%から 160%以上の昇給:協約期間中、組合員はCOLAと複利賃上げを考慮した上で少なくとも33%の昇給を見込み、一部の低賃金労働者については最高160%以上の昇給を見込む。数万人の自動車労働者は、批准後直ちに40%以上の賃上げを受ける
  • 最賃への昇格の迅速化:3社すべてで、組合は最賃への昇格期間を8年から3年に短縮することを勝ち取った。これにより、2011 年の協約以前の昇給が復活した
  • ベルビデールの再開とアメリカへの再投資:ステランティスは、2月に閉鎖したイリノイ州ベルビデールの組立工場の再開に合意し、同地に1,000人以上の組合員を雇用する32億ドルのバッテリー工場を建設することを約束した。交渉開始当初、同社は米国内で5,000人以上の時間給雇用を削減する予定だった。現在は5,000人以上を雇用する予定である
  • 公正なEV移行への道を切り開く:UAWは自動車メーカー3社すべてで約束を勝ち取り、当組合の全国協約の下で数千人の電気自動車(EV)とバッテリーの雇用を創出することになった
  • すべての現役・退職組合員の退職保障を改善:現役退職者は15年ぶりに年間ボーナスを受け取り、給付を12億5,000万ドル(約2,000億円)増額する。これは、組合が過去4回の協約で退職者のために獲得した額を合わせて10億ドル(約1,500億円)上回る額である。3社すべてで、2007年以前に雇用された労働者が15年以上ぶりに年金倍率の引き上げを勝ち取った。当組合は 2007 年以降に採用された労働者の確定給付年金を取り戻せなかったが、401(k)への雇用者拠出が10%に大幅に引き上げられ、多くの組合員の年間401(k)拠出額は協約期間中に 2 倍以上になる

【参照ページ】
(原文)UAW Members Ratify Historic Contracts at Ford, GM and Stellantis
(日本語参考訳)全米自動車労働組合、フォード、GM、ステランティスで新労働契約を批准

関連記事

おすすめ記事

  1. TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    2025-7-10

    TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    ※本記事は2024年10月の内容にGX-ETSに関する内容を追記し再掲載している。(2025年7月…
  2. TNFD開示を支援する 主要ツール比較と選定ポイント

    2025-6-11

    TNFD開示を支援する 主要ツール比較と選定ポイント

    2024年にTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-…
  3. 進化するサステナビリティ開示 ― 傾向から考える“自社の対応状況”

    2025-6-6

    進化するサステナビリティ開示 ― 傾向から考える“自社の対応状況”

    サステナビリティ情報開示の高度化が急速に進んでいる。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)…

ピックアップ記事

  1. SSBJ(気候関連開示基準)とGX-ETSの共通点とは?~比較解説と実務効率化~

    2025-8-14

    SSBJ(気候関連開示基準)とGX-ETSの共通点とは?~比較解説と実務効率化~

    日本企業にとって、2026年から「気候変動対応・開示」は、企業価値を左右する重要な経営課題になるで…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 2025-8-11

    バークレイズ、サステナブルファイナンスで累計2,200億ドルを達成

    7月29日、英国大手銀行バークレイズは、2025年上半期のサステナビリティ投資家向けプレゼンテーシ…

““登録03へのリンク"

ページ上部へ戻る