カルパース、14兆円のネット・ゼロ戦略を発表

11月13日、カルパースは、同基金のポートフォリオをネット・ゼロに向けて加速させるため、包括的なサステナブル投資戦略「サステナブル投資2030戦略」を発表した。本取り組みでは、2030年までに気候変動対策に1,000億ドル(約14兆円)を投じ、炭素排出量削減の信頼できる計画を持たない投資先は売却することで、企業の説明責任を果たす。

サステナブル投資2030戦略は、2030年までにカルパースによる投資の炭素排出強度を50%削減するための、達成可能で具体的な一連の行動を提案している。本計画は、2050年までに投資による炭素排出量と炭素削減量のバランスをとるというカルパースの全体目標の一部である。

カルパースは現在、470億ドル(約7兆円)近くの低炭素資産を保有している。新たなコミットメントにより、その額は2倍以上となる。

サステナブル投資2030戦略はまた、CO2排出量の削減に関して、企業に対する明確な説明責任を確立する。カルパースの投資マネージャーは、信頼できるネット・ゼロ計画を持たない特定の証券から撤退するプロセスを開発する。

カルパースのネット・ゼロ計画は、ポートフォリオと経済の両方を脱炭素化する責任を、消極的な投資売却努力によって他者に転嫁すべきではないという信念に基づいている。実際、本計画は、グリーンエネルギーへの移行に取り組んでいる企業への資金援助に依存している部分もある。

気候変動以外にも、サステナブル投資2030戦略は、様々な取り組みを通じて、ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DEI)を推進している。その中には、社外マネジャーを対象とした多様性の達成状況の調査や、規制要件や株主行動に関する継続的な取り組みも含まれる。また、より多くの企業報告、労働力評価の改善、労働者の公正な待遇を保証する労働原則の推進を提唱することで、人的資本管理に新たな焦点を当てている。

【参照ページ】
(原文)CalPERS Announces $100 Billion Net Zero Pledge and New Climate Accountability Measures
(日本語参考訳)カルパース、14兆円のネット・ゼロ戦略を発表

関連記事

おすすめ記事

  1. TCFD×TNFD統合開示ガイド:いま企業が備えるべき実務対応とは?

    2025-8-20

    TCFD×TNFD統合開示ガイド:いま企業が備えるべき実務対応とは?(再掲)

    ※2025年5月28日公開済みの記事を一部更新し再掲している。 企業のサステナビリティ関連の…
  2. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…
  3. TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    2025-7-10

    TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    ※本記事は2024年10月の内容にGX-ETSに関する内容を追記し再掲載している。(2025年7月…

ピックアップ記事

  1. TCFD×TNFD統合開示ガイド:いま企業が備えるべき実務対応とは?

    2025-8-20

    TCFD×TNFD統合開示ガイド:いま企業が備えるべき実務対応とは?(再掲)

    ※2025年5月28日公開済みの記事を一部更新し再掲している。 企業のサステナビリティ関連の…
  2. 2025-8-19

    【PR】9/10 オフライン 『開示規制が変化する中でのESG評価の位置づけと実践事例』

    毎回満員御礼でご好評をいただいているESG Journal 会員向けのESG Journal …
  3. 2025-8-18

    金融庁、EDINET新タクソノミ案公表 27年版ではサステナ情報開示も検討

    8月8日、金融庁は企業の有価証券報告書などで利用される電子開示システム「EDINET」の基盤となる…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る