英広告当局、「サステナブル」広告を相次ぎ違反認定、Nike・Superdry・Lacosteなど

12月3日、英国の広告基準局(ASA)は、ファッション小売大手のNike、Superdry、Lacosteによるオンライン広告について、いずれも「サステナブル」などの環境表現が不明確で誤解を招くとして、広告規定違反と判断したと発表した。今回の裁定は、AIを用いて環境主張を監視する「Active Ad Monitoring」に基づく業界全体調査の一環で、同日付で複数企業への措置が公表された。

■ Nike:「sustainable materials」表示に根拠不十分

問題となったのは、2025年6月に表示されたGoogle広告。「Nike Tennis Polo Shirts – … Sustainable Materials」と記載されていたが、ASAは「持続可能素材」の定義や根拠が広告上で示されていない点を指摘した。
Nikeは、同社テニスポロシャツが最低50%以上のリサイクル素材を含むと説明し、特に夏モデルは75%以上が再生ポリエステルであると反論。しかしASAは、広告が「全製品が環境負荷を与えない」と受け取られ得る絶対的表現だと判断。製品ライフサイクル全体で環境に悪影響がないことを示す証拠が欠如しているとして、CAPコード(広告規範)違反を認定した。

■ Superdry:「Sustainable Style」も誤認の恐れ

Superdryの広告では、「Sustainable Style. Unlock a wardrobe that combines style and sustainability」との文言が問題視された。
同社は、製品の64%がサステナブル素材基準に適合していると主張し、一部製品の認証書類も提示したが、ASAはこれを不十分と判断。「サステナブルスタイル」という広範かつ絶対的な表現は、全商品が環境に無害と理解される恐れがあると指摘した。
Superdryは広告削除を認めたが、ASAは「主張の前提・範囲が不明確で、ライフサイクル全体の証拠がない」として違反を認定した。

■ Lacoste:「Sustainable clothing」表示は不明確

LacosteのGoogle広告では、「Lacoste Kids – Sustainable clothing」と表示された点が問題となった。
同社は、キッズラインの78%が有機・再生繊維など認証素材で構成され、2022年比で環境負荷が削減されたとのLCA(ライフサイクル分析)結果を提示。しかしASAは、
「『サステナブル』という語は消費者に全体的・絶対的な環境良好性を想起させる。製品全体のライフサイクルにおいて有害性がないとの証明はされていない。」
と指摘し、CAPコード違反と判断した。

■ 3社の表現はいずれも「曖昧で誤認の恐れ」

ASA は3社すべてに対し、
「『サステナブル』『環境に優しい』などの広義表現は極めて誤解を招きやすい。主張の根拠、範囲、条件を広告内で明確に示す必要がある。絶対的環境主張には製品ライフサイクル全体の詳細な証拠が求められる。」
と改めて警告。各社には、同様の広告を再掲載しないよう命じた。

今回の一連の裁定は、ファッション業界におけるグリーンウォッシング規制の強化を象徴するものとなった。ASAは今後もAI監視を通じて環境広告の精査を進めるとしている。

(原文)
Nike: ASA Ruling on Nike Retail BV
Superdry: ASA Ruling on Supergroup Internet
Lacoste: ASA Ruling on Lacoste E-commerce t/a Lacoste

関連記事一覧