
9月18日、EU理事会は国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)への提出に向け、次期温室効果ガス削減目標(NDC:国別削減目標)の「意向声明」を承認した。声明は正式なNDCではないが、EUと加盟27カ国がポスト2030年の削減方針を共有し、国連の場で「一つの声」として発信する姿勢を示したものとなる。
声明では、EU全体で温室効果ガス排出量を1990年比で2035年までに 66.25~72.5%削減する目標レンジ を暫定的に提示した。これは2030年までの「55%削減」目標、現在議論中の2040年目標、そして2050年カーボンニュートラル計画を踏まえた線形的な削減軌道に基づく。デンマークのラーズ・オーゴー気候・エネルギー・公益事業相は「27カ国が結束し、国連で明確な意思を発信できることは大きな意味を持つ。我々は依然として世界的な気候行動を推進する意思を共有している」と述べた。
EUはすでに2015年に初のNDCを提出し、2020年12月には「2030年までに少なくとも55%削減」とする強化版を表明。2023年には「Fit for 55」政策パッケージ採択を受けて改定しており、パリ協定に基づく各国の5年ごとのNDC更新義務に対応してきた。今回の意向声明は、2030年以降の新たな削減目標をCOP30(2025年開催予定)前に正式提出する意思を国際社会に先行して示すもので、世界全体の取り組み水準と「パリ協定1.5℃目標」達成の実現性を左右する注目材料となる。
今後はデンマーク議長国と欧州委員会が国連事務局に声明を送付し、9月24日の国連総会に合わせた「気候サミット」でもEU立場として発信される予定だ。
(原文)Paris Agreement: EU submits statement of intent to the UNFCCC on the post-2030 NDC