
9月18日、独高級車大手メルセデス・ベンツはエネルギーパーク開発会社UKA(Umweltgerechte Kraftanlagen GmbH & Co. KG)と共同で、北部パペンブルクの自社テストコース敷地内に大規模風力発電所の建設を開始した。2027年までに、独ノルデックス社製の風力タービン20基(総出力140メガワット)を設置する計画。稼働後は、同社ドイツ国内電力需要の約20%を賄える見通しだ。
今回の事業は長期電力購入契約(PPA)に基づくもので、メルセデスの持続可能な生産ネットワーク構築における中核施策のひとつ。1998年以来研究開発拠点として活用している約800ヘクタールのパペンブルク試験場を活用し、生態系に配慮した形での土地利用が計画されている。
メルセデスの生産担当取締役、ヨルク・ブルツァー氏は「本プロジェクトは環境面と経済面双方で持続可能戦略を体現するものであり、当社が掲げる脱炭素目標を具体的に前進させる」とコメントした。
一方、UKAのゲルノート・ガウグリッツ経営パートナーは「25年間にわたりメルセデスに電力を供給できることを誇りに思う。現在独国内で建設中の陸上風力発電案件(総量1.5GW超)の中でも象徴的な事例」と述べた。
建設ではノルデックス社がタービンを供給するほか、基礎やハイブリッド型タワー部材については独マックス・ベーグル社が担当する。完成時にはハブ高さ164メートルに達する予定。現場では一部課題もあるが、「記録的な速さでプロジェクトを推し進めている」(UKA)という。
メルセデスはすでに2022年から自社工場のカーボンニュートラル化を実現済み。2030年までに生産で必要となるエネルギーの7割超を再生可能エネルギーで賄う計画で、今回のパペンブルク案件に加え、バルト海での洋上風力発電計画も進行中だ。最終的には2039年までに全世界の生産拠点を100%再エネで稼働させる目標を掲げている。
(原文)Mercedes-Benz test track Papenburg Construction of 140 MW wind farm starts.