
9月2日、企業の温室効果ガス削減目標を科学的根拠にもとづき策定・検証する国際的枠組み「科学的根拠に基づく目標設定イニシアチブ(SBTi, Science Based Targets initiative)」は2日、電力部門を対象にした「Power Sector Net-Zero Standard(パワーセクター・ネットゼロ基準)」の初稿を公表し、11月3日までの期間、広く関係者から意見を募ると発表した。
世界のエネルギー関連排出の約4割を占める電力部門は、気候変動によるリスクにさらされると同時に、他産業の脱炭素を支える中核として期待されている。SBTiは、2050年までにネットゼロを実現するため、電源の脱炭素化を加速させる必要があると強調している。
今回の基準草案は、発電、送電・配電、蓄電、電力取引、小売といった幅広い活動を行う企業を対象とし、近未来および長期の科学的に整合した削減目標を設定できるよう設計されている。これにより、移行リスクを管理し、低排出電力需要の拡大による成長機会の獲得につなげたい考えだ。
草案は現在改訂作業が進む「企業版ネットゼロ基準 V2」と整合しており、電力業界特有の排出構造と事業形態に即した基準を提供する。従来の「電力事業者向けクイックスタートガイド」に代わるものとして位置付けられている。
SBTiは声明で「実務的で信頼性が高く、科学的に堅牢な基準とするために、すべてのステークホルダーの意見を求めたい」としており、パブリックコンサルテーションへの参加を呼びかけている。詳細はSBTi公式サイトに公開された「標準開発の基本要件(Terms of Reference)」やセクター専用ページで確認できる。
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【新着】SBTiのネットゼロ基準の改訂案とは ?~ カーボンクレジットの扱いに明確な方針
(原文)Stakeholder input invited on the SBTi’s Power Sector Net-Zero Standard
(日本語参考訳)SBTiの電力セクターネットゼロ基準に関するステークホルダーの意見募集