
8月29日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は『2024年度 サステナビリティ投資報告』を刊行した。従来の「ESG活動報告」から名称を変更し、環境・社会・ガバナンス(ESG)を含むサステナビリティ投資全体を対象とした内容となっている。
報告書では、ESG指数を活用した株式運用や債券・オルタナティブ資産における取組み、委託運用機関との対話などを整理したうえで、ポートフォリオのESG評価や効果測定を実施。「運用受託機関の議決権行使に関する検証」では、利害関係先と一般企業への対応の違いを分析した。
さらに、自然資本や生物多様性に関連するリスクに着目し、国内株式運用会社が選定した「優れたTNFD開示」を紹介。加えて、サステナビリティ関連財務情報の開示状況や、不祥事が企業業績に及ぼす影響に関する分析も行った。
理事長の内田氏は「GPIFはユニバーサル・オーナーとして、サステナビリティを資産全体で考慮し、市場全体の持続可能性を高めることで長期的なリターンを確保する責務がある」と強調。投資先企業との対話を通じて「インベストメント・チェーンの好循環」を目指す考えを示した。
今回の報告書には、アセットオーナーや運用会社のみならず、企業のIRやサステナビリティ部門に有用となる分析が多く盛り込まれている。