
8月19日、原子力スタートアップ企業の アーロ(Aalo) は、シリーズB資金調達において1億ドルを確保したと発表した。今回のラウンドはValor Equity Partnersが主導し、Fine Structure VenturesやHitachi Venturesをはじめとする既存・新規の投資家が参加した。
調達した資金は、同社初の原子力発電所「Aalo-X」の建設に充てられる予定で、2026年夏までに「ゼロパワー臨界状態」に到達する見込みだ。実現すれば、米国で数十年ぶり稼働する先進原子力発電所となる可能性がある。同社は「単なる試験炉ではなく、実際に電力を生産する商用プラントだ」と強調している。
さらに注目されるのは、原子炉の隣に実験用データセンターを併設する計画だ。原子力発電所とデータセンターが一体で建設されるのは世界初とされ、今後の世界的普及を見据えたデモンストレーションになるとみられる。
アーロによれば、工場で量産可能な小型原子炉を複数基同時に稼働させる方式により、AI需要の急増に伴う新たなエネルギーモデルを提示できるという。設置が迅速かつ柔軟で、必要な土地や水の使用も最小限に抑えられ、クリーンで安定した電力供給が可能となると説明している。
同社は20カ月前に採用を開始し、この1年で4万平方フィートのパイロット工場と非核プロトタイプを完成させた。「原子力の課題は“開発に時間がかかりすぎる”ことだ。アーロはそれを覆す存在になる」としている。
将来的な事業計画は以下の通りである。
- データセンター市場への展開:Aalo-Xで速度・信頼性・経済性を実証し、その後「Aalo Pod」(小型炉5基+タービン1基)を数千単位で建設し、大規模データセンターに電力を供給する。
- 市場拡大とコスト削減:地方電力会社や海水淡水化、工業プロセス熱など幅広い用途へ進出。データセンターは世界の電力市場のわずか1%にすぎず、成長余地は大きい。
- 次世代炉の開発:Aalo-1と同じ物理形状を保ちつつ出力を約10倍に拡大し、発電コストを1kWhあたり3セントに近づける。
アーロは「世界が求めるのは可能な限り早く、可能な限り多くの原子力エネルギーだ。私たちはその実現を加速させる」と述べ、長期的には途上国や遠隔地、さらには宇宙への電力供給まで視野に入れている。
(原文)Aalo Closes $100M Series B
(日本語参考訳)アーロ、1億ドルのシリーズB資金調達を完了