AI時代の電力需要に対応 X-エナジー、アマゾン、韓国水力原子力、斗山エナビリティが戦略提携

8月25日、米国の原子力ベンチャー「X-エナジー」、アマゾン、韓国水力原子力(KHNP)、斗山エナビリティ(Doosan Enerbility)の4社は次世代小型モジュール炉「Xe-100」を米国内で加速展開するための戦略的提携を結んだと発表した。データセンターやAIインフラの急増する電力需要に対応する狙いで、2039年までに米国内で500万キロワット超の新規原子力発電を導入する計画だ。

協定では、炉のエンジニアリング設計からサプライチェーン構築、建設計画、投資戦略、長期運用、さらには国際展開に至るまで包括的な協力を進めていく。最大500億ドル(約7.4兆円)規模の官民投資を呼び込み、米国のエネルギー供給力とAI成長を支える基盤を整備する構想だ。

X-エナジーのJ・クレイ・セルCEOは「韓国産業界の経験と当社の先進炉・燃料技術を組み合わせ、前例のないエネルギー課題に挑む。米韓の協力は、AI競争で主導権を保ち、中国を凌駕する上でも不可欠だ」と強調した。

X-エナジーは既に化学大手ダウや電力会社エナジー・ノースウエストとの実証を進めており、米原子力規制委員会(NRC)が建設許可申請の審査に入るなど、商業化に向けた準備が進展している。今回の提携は、米韓両国の協力を背景に、次世代原子力を軸としたAI時代のエネルギー供給戦略を一層加速させる転機となりそうだ。

(原文)X-energy, Amazon, Korea Hydro & Nuclear Power, and Doosan Enerbility Announce Partnership to Scale Advanced Nuclear Energy for AI Infrastructure
(日本語参考訳)X-energy、Amazon、韓国水力原子力、斗山エネルギーがAIインフラ向け先進原子力エネルギーの拡大に向けた提携を発表

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