ダウ、2千億円のグリーンボンド発行。ネット・ゼロの化学工場新設に資金提供

2月9日、化学・素材科学大手のダウは、第1回グリーンボンド募集の完了を発表し、カナダでのネット・ゼロ・エミッション化学プラントの新設を含む同社の脱炭素・循環型経済戦略を支援するため、12億ドル(約2,000億円)以上を調達した。

本発行は、ダウが11月に発表したFort Saskatchewan Path2Zeroへの最終投資決定を受けたもの。 Fort Saskatchewan Path2Zeroは、カナダ・アルバータ州に世界初のスコープ1と2排出量ネット・ゼロのエチレンプラントを建設する65億ドル(約1兆円)のプロジェクトである。同プロジェクトでは、ダウは新しいエチレン・クラッカーを建設し、ポリエチレンの生産能力を年間200万トン(MTA)増加させるとともに、既存のクラッカーをスコープ1と2の排出量がネット・ゼロになるように改修する。ダウは当初、グローバルな資産基盤の脱炭素化を目指した投資に年間約10億ドル(約1,500億円)の設備投資を割り当てる意向とともに、2021年に新プラントの計画を発表した。

ダウは、今回のグリーンボンドによる調達資金は、新工場に関連する支出と投資に充てられ、また、2050年までにすべてのスコープでカーボンニュートラルを達成すること、2030年までにスコープ1と2の排出量を500万トン削減すること、2030年までに年間300万トンの循環型・再生可能ソリューションを商業化することを含む、気候保護と循環型経済の目標達成を支援するために使われると述べている。

同社が最近発表したグリーンボンド・フレームワークでは、グリーンボンド資金配分の適格基準を概説しており、適格カテゴリーには、エネルギー効率、再生可能エネルギー、脱炭素化関連支出を含む気候保護投資と、循環経済適合製品、生産技術、生産プロセス、認定環境効率製品を含む循環経済投資が含まれる。

今回の募集には、2034年満期5.150%債6億ドル(約900億円)と2054年満期5.600%債6億5,000万ドル(約1,000億円)が含まれる。

【参照ページ】
(原文)Dow announces completion of inaugural green bond offering
(日本語参考訳)ダウ、2千億円のグリーンボンド発行。ネット・ゼロの化学工場新設に資金提供

関連記事

“イベントへのリンク"

おすすめ記事

  1. 2024-4-16

    SSBJ公開草案の重要ポイント解説:今後の気候変動の情報開示はどう動くか

    2024年3月29日、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が国内のサステナビリティ開示基準の草案…
  2. 2024-4-9

    SBTN(Science-Based Targets for Nature)とは。企業のネイチャーポジティブ経営を実現する目標設定の方法論を解説。

    TNFDのフレームワークが公開され、先進企業ではフレームワークに基づく情報開示が進みつつある(20…
  3. 2024-4-2

    【さくっと読める】TNFDの開示とは。重要ポイントを抽出。

    2023年9月、TNFDのフレームワークが完成し公開された。2023年時点でTNFDに基づく開示を…

ピックアップ記事

  1. 2024-5-8

    IBM、ESGデータプラットフォームにCSRD対応機能を追加

    4月30日、IBMは、ESGデータの収集、分析、報告プ​​ラットフォーム「IBM Envizi」の…
  2. 2024-5-8

    IFRS、EFRAG、ISSB/CSRD報告基準に双方に対応する企業向けガイダンスを発行

    5月2日、IFRS財団と欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)は、ESRS-ISSB基準の相互に共…
  3. 2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
ページ上部へ戻る